読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

妊娠出産と機械弁

機械弁を植え込んだ女性は、妊娠出産が不可能ではありませんが、非常にリスクが高いために、ほとんどすすめられることはありません。機械弁はワーファリンの服用が必須ですが、ワーファリンを飲んだまま妊娠すると、奇形児が生まれる可能性があります。また、出産に際しては手術のときと同じようにワーファリンに変えて、やはり血液をサラサラにするヘパリンという微調整可能な点滴の薬を点滴して行いますが、母子ともに脂肪のリスクがあります。ある医師から聞いた話ですが、出産を希望していたある患者さんは30歳のとき迷わず生体弁を希望し、大動脈弁にステントレス生体弁を入れました。そして手術後11年目にエコーがとられたところ、左心室の出口の筋肉が盛り上がっていて、大動脈弁輪という弁を植え込む枠も小さいため、Kunno手術という方法で、枠を大きく拡大してから弁を植え込みました。もし手術をしても左心室の出口が窮屈な状態が残ると、血液の流れるスピードが早くなり、生体弁の痛みが早まることが危惧されたため、このような手術をしました。11年目のエコーでも血液はスムーズに流れ、生体弁も非常にきれいでした。10年くらいで取り替えかも、ということを了解しての手術でしたが、まだまだ長持ちしそうとのこと。手術後出産された2人のお子さんも元気に大きくなっているそうです。

ワーファリンという薬は、胎盤を通るので胎児に影響があります。胎児に奇形を起こしたり、出血により脳障害を起こすこともあります。また出産のときは当然母体の出血のリスクは高く、致命的になることもあります。よって妊娠出産希望の女性が人工弁置換を必要とするときは、原則として生体弁がすすめられるのです。

高齢者では生体弁は長持ちするといわれています。代謝がゆっくり、若い人に比べて活動量が少ない、などがその理由と考えられています。フランスからの1800人を超える大動脈弁生体弁置換のある報告では、手術後20年で弁がだめにならに率(弁機能不全回避率)は65%でしたが、60歳以上では80%と良好でやはり高齢者では長持ちするという結果でした。生体弁の話をするときに、若いか若くないかというボーダーラインは60~70歳あたりに引かれるのが一般的です。