抗ピロリ菌ウレアーゼ鶏卵抗体を添加したヨーグルトを1日2回摂取

ニワトリの卵を利用したユニークな研究が行われています。ニワトリは母親が獲得した血中の抗体を卵黄や卵白に移行させることが知られており、これを鶏卵抗体IgYといいます。Yは卵黄を意味する英語yolkの頭文字です。哺乳類では血中グロブリンの抗体IgGが胎盤を経由して新生児に移行します。

胎盤がなく卵で生まれる鳥類の卵に抗体があるのは合理的であり、当然と思われます。この点に注目し、食品として広く用いられている鶏卵を利用してピロリ菌を制御できないかと検討されています。ニワトリは大量飼育が行われており、疾病予防のワクチンなどのシステムも確立していて利用しやすいと考えられたのです。

ピロリ菌に対する抗体の研究で着目されたのが、ピロリ菌の持つウレアーゼでした。ウレアーゼは、ピロリ菌が胃粘膜細胞に接着する段階で重要な役割を果たしています。そこで、このウレアーゼを特異的に阻止することによってピロリ菌の胃内での活動を阻害できないかと考えて、ピロリ菌ウレアーゼ抗体が開発されたわけです。これが、抗ピロリ菌ウレアーゼ鶏卵抗体です。研究チームはこれを食品として摂取するための研究をしており、ヨーグルトに添加したものでの試験結果を報告しています。2グラムの抗体を添加したヨーグルトを1日2回摂取する試験では、経時的にピロリ菌の菌量が低下し、特に副作用もなかったといいます。この卵は、抗ピロリ菌鶏卵抗体を含む「胃も喜ぶ卵」として市販されています。

技術的にはニワトリにほかの抗体を作らせることも可能だと思われるので、今後は食品素材の一つとしてこのような機能を持つ卵が注目されるでしょう。もちろん普通の卵ではいくら摂取してもこの効果はなく、ニワトリに免疫して抗体を作らせたところがポイントです。