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毒素ショック症候群とは

毒素ショック症候群の臨床的特徴の第一は、発症とその経過が速いことです。特に外科手術後に起こる毒素ショック症候群は、潜伏時間が短いのが特徴で、半数以上が手術後48時間以内に発症しています。なかでも黄色ブドウ球菌が最も定着しやすい場所である鼻の手術後は、もっと潜伏期間が短いことがあります。

急速に血管内から組織感激へ液体が漏出し、血圧が低下するのが、第二の特徴です。多臓器に障害が起こるのが、第三の特徴です。これは、毒素作用に伴う頭痛、精神障害、下痢、呼吸障害、急性心不全、心筋障害などが起こり、心筋機能の代償が効かなくなり、生命に危険が迫ることになります。

第四の特徴は、皮膚と粘膜の変化、特に表皮剥離が起こることです。

その後の研究によって、この症候群の本態が解明されました。患者の96%が女性で、多くの場合メンスと関係があります。死亡例はほぼ5%に達しました。原因はタンポンにあることが判明し、改良が加えられた結果、タンポンが原因で起こる例は激減しました。それに伴って米国では年間報告例数が減少し、それとともにメンスに関係のない外科手術、外傷後の症例が増加しました。

毒素産生性の球菌感染症に伴って起こるのが普通です。毒素ショック症候群患者、特にメンスに関連する症例の大部分から分離されたブドウ球菌は、毒素ショック症候群毒素TSST-1を産生します。TSST-1の毒素ショック症候群における役割は、この毒素の実験動物における作用により確認されました。TSST-1陽性ブドウ球菌はウサギで毒素ショック症候群に類似の病気を起こしますが、TSST-1産生金に由来するTSST-1非産生変異体は同じ条件下でそれを起こしません。他のウサギが産生した抗TSST-1抗体を注射することによって発病を阻止すること、すなわち受身免疫が可能です。ところが毒素ショック症候群になった患者は、多くの場合、抗TSST-1抗体をもっていません。

TSST-1のほかにも、化膿連鎖球菌の産生するものも含めて多数の毒素が原因となります。複数の毒素を産生する場合には、その影響もそれだけ厳しいものになり、致死率も高くなります。これら毒素は吐き気が起こるとか、下痢原因になるとか、心臓障害性とか、猩紅熱の発生とか、それぞれに特徴的な役割があります。