プライスキャップ規制のメリット:改革コストゼロで診療価格を抑える

診療報酬改革はわかりやすさを最優先すべきです。高いか安いかはさておき、駅の料金表がわかりやすいから客は切符を券売機で買い自動改札機を通ってスムーズに流れるのであって、わかりにくかったら各駅とも毎日大混乱に陥ります。現在の点数票は複雑怪奇であり、早急に是正しなければなりません。点数票の各項目には長い注釈が付されています。注釈の多さは一見厳格さを保持しているかのように思われますが、実は料金表として不適切であることを示すものです。料金表は誰が見てもわかりやすいものでなければならないのであって、点数表は料金表として失格です。

点数票のわかりにくさは、患者に多大な不安をもたらしています。点数票に習熟したものでなければ請求に誤りがあるか否かの判断はできず、点数票を見たこともない多くの患者は半信半疑のまま請求通りに支払っています。医療の料金表は何よりも患者にとって分かりいいものでなければなりません。わかりやすさ、特に患者にとって分かりやすさにおいてはDRG/PPSが優れています。

しかし、出来高払いを定額払いに切り替えただけでは真の診療報酬改革とは言えず、質的向上とコスト抑制に寄与するものでなければなりません。質の向上とコスト抑制は競争を通じて実現されるものであり、何よりも競争を喚起しなければなりません。競争を喚起するには供給者に料金設定の裁量権を認めたプライスキャップ規制が望ましいでしょう。すなわちDRG料金を上限とし、各医療機関が自らのサービスの質を勘案して上限以下の料金を自主的に設定できるシステムとする必要があります。

他方、規制緩和だけでは解決できない問題があります。幼児は休日、夜間に関係なく受診を要します。小児科は医師や看護師を24時間配備しなければならないなど他科より高コストです。しかし、現在の点数票と薬価基準では小児医療で収益を得ることは困難です。そのため赤字基調にある小児科を廃止する病院が増えているというのが小児科問題です。小児医療を確保するには、規制緩和とは逆に主要な病院に小児科設置を義務付け、赤字分を補助金で穴埋めするような措置も必要と思われます。

無用の長物と化した薬価基準は廃止が妥当ですが、なお存続を主張する理由の1つが、自由化すると薬に法外な値段がつけられるのではないかという疑念です。この疑念を払しょくするには薬価調査を実施し、実勢価格の分布を公表するだけで十分です。薬価基準は「実勢価格の平均値+C」に設定されますが、誰もが安く購入したいと考えるので、みんなが最低価格での購入を要求し、薬価引き下げの速度はアップします。

最低実勢価格を公表するだけで、価格を規制するよりも安くなります。それでもなお不安が残るなら、当分の間は「平均値+C」を強制価格ではなく上限価格とするプライスキャップ規制を実施すればいいでしょう。プライスキャップ規制により価格競争が喚起されれば自由価格制への移行は容易です。またプライスキャップ規制が十分機能しなかったとしても現在と何も変わらないわけで、改革コストゼロです。