貨幣状湿疹、自家感作性湿疹、うつ滞性湿疹

貨幣状湿疹

 1)形は貨幣状すなわち円形。

 2)皮疹の中央は湿疹性紅斑、辺縁には漿液性丘疹〔と落屑〕。

 3)下腿伸側に特に多い。前腕伸側・手指背〔主婦手湿疹〕、さらに体幹にも。

 4)細菌感染が発症に何らかの関係をもつ〔ブ菌アレルギー?〕(nummulares Mikrobid Rockl)。

 5)自家感作性皮膚炎の原発巣になりやすい〔20~60%〕。

 6)特に外国では乾皮症性(xerotic)の老人に多いとされるが、わが国では20~30歳代が多い。冬期に多い。

 7)虫剌-〔掻破〕→じんま疹様苔癬-〔掻破〕→貨幣状湿疹という経過が多い。

 8)局面性〔斑状〕湿疹(eczema en plaques)とほぼ同様。貨幣性湿疹の大きいものをこのように呼ぶこともある。

 

自家感作性湿疹

 ある湿疹様病変〔原発巣〕が何らかの原因で急性増悪し、その時、他の皮膚に撤布性に小さな発疹〔撤布疹〕が急に多発する状態をいう〔id反応:一種の内来性アレルギー性接触皮膚炎〕。

 A。原発

 1)下腿に圧倒的に多い〔50~60%〕。

 2)原疾患として接触皮膚炎、貨幣状湿疹がほとんどで、次いで熱傷・アトピー性皮膚炎・うっ滞性湿疹がある。

 3)活動性である。すなわち発赤・腫脹・滲出などが顕著。この急性増悪より撤布疹発生までの期間は2~数週である。

 B。撒布疹

 1)粟粒大~半粒大の小丘疹・紅斑・小膿疱あるいは漿液性丘疹が散在性に、まれに集簇性に多発。

 2)対称性かつ播種状、ケブネル現象を示すことあり。

 3)四肢・体幹・顔面に多く、頭部・四肢末端に少ない。

 4)急速に発生する。

 5)痰痒激甚。

 6)ときに悪寒・発熱・精神的不安・食思不振などの全身症状。

 7)原発疹の治療により消退。

 C。機序として、原発巣における変性した皮膚蛋白、または皮膚蛋白十細菌の複合物が抗原となり、それに全身が感作されて発症すると考えられる。白癬疹も本病型の特殊なものと考えられる。

 


うつ滞性湿疹stasis dermatitis

 静脈瘤のある下肢、特に下腿下1/3に漲紅の強い湿潤性、あるいは褐色調強く落屑浸潤性の局面を生じ、長く経過する。刺激に弱くしばしば増悪して自家感作性皮膚炎の原発巣となる。下腿潰瘍を併発することあり、またこれに併発する。局面上に小豆大あるいはそれ以上の円~楕円形のやや陥凹した白色小斑をみることもあり、白色萎縮(atrophie blanche)と称し、深部に動脈狭窄、静脈拡張像をみる。静脈瘤およびそれに随伴する血行改善を図らねば根本治療にならない。

 


膿痂疹性湿疹eczema impetiginosum

 小児顔面〔口囲・鼻孔・耳朶周辺〕の湿疹は二次感染により、びらん・黄色痂皮を来し、膿痂疹状となる。逆にかかる開孔部の細菌由来の伝染性膿痂疹が掻破により湿疹化することも多い。