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OTC市場ではマーケティングも重要

 医療用医薬品企業としては馴染みの薄い企業が、OTC市場においては医療用医薬品を取り扱うメガファーマと肩を並べるほどの存在感を示している。

 OTC市場において成功するために必要な知見や技術が医療用医薬品と同じものであれば、会社規模で勝るメガファーマがOTCメーカーに対して圧倒的な優位に立っていてもおかしくはない。しかし現状、メガフアーマ群が大きく優位に立っているとは言い難い。これは裏を返せば、OTC市場における成功の要因は、医療用医薬品の成功要因とは違うということを意味しているといえる。

 では、一体どのような点が、医療用医薬品とOTCの相違点といえるのか。医療用医薬品とOTCとの相違点で最も大きいのが、処方の形態の違いである。医療用医薬品は、医師が処方して患者が使用するが、OTCは、薬剤師などのアドバイスはあるものの患者である消費者が店頭で選び自ら使用する。この違いが、企業経営上、新薬メーカーと0TCメーカーのあいだで大きな違いを生じさせているのである。

では具体的にそれは何か。

 ひとつは、流通である。医療用医薬品は医師の許可がないと処方できないため、医師に処方してもらえるように交渉をする必要がある。一方、OTCは販売のための棚割をめぐって薬局やドラッグストアと交渉する。こうした違いから、卸自体もそれぞれに特化しており、医療用医薬品とOTCのどちらを扱うかでノウハウも大きく違ってくる。

 もうひとつは、販売面の違いである。医療用医薬品は医師に処方してもらう必要があるため、その有効性を的確に伝えて取り扱ってもらうことが最優先である。しかし、OTCは、店頭で消費者に選んでもらう必要があるため、薬の効き目はもちろん、店頭でのマーケティングなど消費者の頭のなかでのイメージを構築すること、つまり消費者へのマーケティングーコミュニケーションも必要とされる。ランキング上位に位置していない企業に対しても私たちの認知度が高い。OTC市場では、規模の小さな企業でもTVCMなどを用いて消費者への訴求を積極的に行っているからである。

 以上、OTCは医療用医薬品との相違点が多い。誤解を恐れずにいうならば、OTCは一般消費財的側面を持つともいえる。要するにOTC市場は、販売面において一般消費財のようなマーケティングも必要となる、医薬品としては特殊な市場なのである。

 したがって、こうしたOTC市場には多様な企業が存在し、各々が特徴ある戦略で経営を行っており、OTC市場を分析するにはこうした多様性を認識する必要がある。