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新生児への溶連菌感染症

 人に感染して臨床上問題となる溶連菌はA群とB群である。年齢によって症状が違い、A群の場合、3歳未満では特徴的症状に乏しく、鼻汁・微熱などの感冒様症状を呈するだけのことが多い。一方、3~4歳以降の小児では、咽頭炎、扁桃炎、中耳炎、皮膚感染症などの起炎菌として重要である。

 咽頭・扁桃炎は、もっともよくみられるA群溶連菌の感染症で、咽頭から軟口蓋・口蓋垂にかけて独特の発赤を認める。舌は初め白苔で覆われ(白苺舌)、第三病日ごろから赤薄舌を認める。この苺舌は2~3週間続く、因頭痛や頸部リンパ節腫脹もともなう。手足を始めとする全身の軽度掻痒のある発疹や皮膚の剥脱を認めることも多い。学校・家族間で流行を認める。発熱を認め、嘔吐や頭痛を訴えることも多い。

 A群溶連菌による皮膚感染症は丹毒がもっとも有名で、顔面や四肢に起こり、限局性の発赤・腫脹・疼痛を認める。また、溶連菌性の膿疱疹では、発熱などの全身症状がブドウ球菌によるものより一般に強い。さらに、A群溶連菌は感染後に急性糸球体腎炎、リウマチ熱、血管性紫斑病を引き起こすことかおり、小児保健上重要である。

 一方、B群溶連菌(GBS)は新生児の感染症として重要である。母体産道からの垂直感染によるものがほとんどである。生後O~6日で発疱する早発型は敗血症であり、呼吸障害・無呼吸・ショック・肺炎・髄膜炎を起こし、死亡率は70%と高い。また、遅発型は生後7日~3か月(3~4週頃が多い)で発疱し、髄膜炎などの中枢神経系の感染を起こし、死亡率は30%前後と早発型より低いが神経学的後遺症を残す。


1……診断

 A群溶連菌による咽頭・扁桃炎の場合、咽頭拭い液の培養により菌を検出する。A群溶連菌迅速判定キットも培養結果とよく相関する。血清学的診断にはASO、 ASK、 ASP、 ADN-Bなどをペア血清(134頁)で測定する。

 一方、 GBS感染症は、妊婦産道の定期培養によって産道汚染母体を早期にみつけるとともに、児については出生直後より咽頭、耳垢、肛門、皮膚などの培養を行い、細菌叢確立の有無をチェックする。


2……治療

 A群溶連菌感染症の場合、診断がつき次第ペニシリンなどの抗生物質を10日間服用する。また、発疱2~3週後ぐらいに検尿および心臓聴診を行い、溶連菌感染後急性糸球体腎炎およびリウマチ熱の早期発見に努める。

 B群溶連菌の場合、症状が出てからではもはや手後れである。 GBS陽性の母親に対する抗生物質投与は感染の危険性を減少させるので、予防投与が勧められている。また、 GBS保有母体からの出生児では、母親に抗生物質の予防投与がなされていなければ、児の培養結果が出るまで待たずに抗生物質の投与を始めることが必要になる。

OA群溶連菌感染症は小児ではよく認める感染症であり、きちんとした治療をすれば恐ろしい病気ではない。ただ、現在でもなお、溶連菌感染後の急性糸球体腎炎や、まれではあるがリウマチ熱も発生しており、抗生物質10日間の服薬指導および検尿などの病後のフォローが重要である。

OB群溶連菌感染症は新生児以外では心配ないが、人の常在菌であり、新生児感染症予防のためには母体の充分な細菌スクリーニングが必要である。

○まれではあるが、他の新生児や医療従事者・家族からの出生後の感染もある。新生児に接触するものは充分な手洗いなどの感染予防に注意しなければならない。