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敗血症:感染巣、多臓器障害の程度、細菌学的検査、血液炎症反応など


 敗血症とは、血液培養で細菌が培養分離されるだけでなく、炎症によってなにがしかの全身性の反応が引き起こされた状態を指す。重篤な敗血症では、病原菌による直接の臓器障害だけでなく、細菌の菌体外・菌体内毒素に刺激された免疫担当細胞や血管内皮細胞から放出される生理活性物質(サイトカインなど)が細胞機能障害を起こし、多臓器障害に陷って死にいたる。菌血症という用語は血液培養で細菌が培養分離されることをいい、炎症の程度は問わない。全身状態が比較的保たれている段階でも血液中に現れやすい細菌としては、サルモネラ、肺炎球菌、 MRSAなどがある。

 敗血症では、初めは肺炎、腸炎、腎盂腎炎、心内膜炎などのように特定の臓器内に感染巣ができ、主として血行陸に散布する。この時、血液培養で細菌が分離され、皮膚や爪、眼底の毛細血管に感染性の血栓ができて点状出血として観察されることがある。血行既に細菌が広がって別の臓器の感染を新たに起こした結果として、化膿性髄膜炎、脳膿瘍、腎膿瘍などが起こり得る。

 このような細菌の広がり方から理解する視点とは別に、全身性の反応(体温、脈拍数、呼吸数、白血球数)やDIC(播種性血管内凝固)の有無、中枢神経・心筋・腎などの重要臓器への血流の低下や体血圧の低下(ショック状態)の程度、治療に対する反応性に注目して敗血症の重篤度を評価する考え方がある。


1……診断

1)発端となる感染巣の評価

 肺炎、腸炎、尿路感染症、髄膜炎など。

2)一般状態の評価

 機嫌、顔貌、顔色、皮膚色、活動意欲、摂食状況などから重症感を把握する。

3)多臓器障害の程度の評価

 DIC・アシドーシス・肝障害・腎障害の有無、心エコーや脳波などの検査による評価のほかに、呼吸・循環管理の治療に対する反応性が低下していないかどうかにも留意する。

4)細菌学的検査

 血液培養や臓器別の検体(咽頭粘液・喀痰、便、尿、穿刺液)から病原体を分離する。いずれも抗生物質投与前に行う。すでに薬剤が投与されている場合は、状態の許す限り抗生物質を中止して培養検体を取り、原因菌の同定を試みる。

5)血液炎症反応の評価

 白血球数は多くの場合で増加するが、重症例では時に減少することもある。白血球分画は幼弱好中球の増加や好酸球・好塩基球の減少がみられる。 CRPの増加は発熱後8時間以降にみられることが多いので、ごく早期の検体では

 「陰性だから細菌感染なし」という断定はできない。

2……治療

 抗生物質投与、 DICに対する治療、呼吸・循環管理などを集中的に行う。

 抗炎症治療として副腎皮質ステロイド剤のはか、炎症性のサイトカインの作用を中和または阻害するための薬剤・特異抗体の使用が模索されている。


 病歴聴取のポイント

○乳児期早期の児や悪性疾患治療中の好中球減少状態にある児、自己免疫疾患などの治療に大量の副腎皮質ステロイド剤投与が行われている児、先天性・後天陸の免疫不全疾患児では敗血症に陥る危険性が高い。

観察のポイント

感染症がある場合には、常に敗血症の合併を考えながら観察する必要がある。わずかな異変の観察・評価が早期の対応を可能にし、救命の機会を広げる。バイタルサインや血圧・尿量のチェックだけでなく、皮膚色、機嫌、活気、意欲、意識状態といった微妙な所見に対する熟達した観察眼が必要とされる。

O諸検査の結果の意味、治療目的の把握、変動しつつある病態の理解と観察事項との関連づけを的確に行う。

○他の医療従事者との連携や保護者への援助などに気を配る。