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慢性肺障害:気管支肺異形成(BPD)やウィルソン・ミキティ症候群


政府は新生児の慢性的肺障害を「先天奇形を除く肺の異常により、酸素投与を必要とする呼吸窮迫症状が新生児期に始まり日齢28を越えて続くもの」と定義している。その代表的な疾患は、気管支肺異形成(BPD)やウィルソン・ミキティ症候群と呼ばれる慢性肺疾患である。研究班の分類によると、I型が典型的なBPD、 II型はBPD軽症型、m型とIv型がウィルソン・ミキティ症候群に相当する。

 これらの慢性肺疾患の病因は複雑である。BPDについては、遺伝的素因、未熟な肺、肺サーファククントの欠乏、人工換気による圧力、酸素毒性、感染症などによる急性損傷に加えて、活性酸素・ケミカルメディエーターなどによる二次的な肺の損傷も考えられている。その病理像は、肺組織の広範な破壊(肺気腫・肺胞虚脱)とその周囲の器質化した線維組織であり、気管支壁の肥厚、気管支粘膜細胞の変化、小さな気管支の閉塞、動脈には肺高血圧の変化が認められる。

 ウィルソン・ミキティ症候群の病因は不明であるが、ウイルス感染症との関連が疑われている。すなわち、臍帯血lgM高値、亜急性臍帯炎、胎盤の亜急性炎症などを認める例がある。病理像は、X線の蜂巣状所見に一致して、気腫とその周囲の繊維化を認め、気管支は正常である。在胎32週未満、 1500g未満の低出生体重児に起こりやすく、生後1~2週間は重篤な肺疾患をみないが、生後2~3週頃から突然に進行性の呼吸困難となり、酸素投与が必要となる。多くは生後2か月頃より自然軽快し始めて治癒するが、呼吸不全や肺性心で死亡する重症例もある。

 慢性肺疾患の診断は、胸部X線所見(肺線維症の病像を反映する)と呼吸障害の程度、酸素依存度、早期新生児期の呼吸状態、発症時期などを考慮して診断する。 BPDは出生後早期に肺疾患があり、生後28日でも酸素投与を必要とし、この疾患に特有の胸部X線所見があることにより診断可能である。ウィルソン・ミキティ症候群は、生後1~2週には重篤な肺疾患がないことにより鑑別が可能である。

 酸素依存度が高い例では体重増加も不良であり、呼吸器感染症やミルクの誤飲などを契機に急激に悪化することが多い。重症のBPDでは気管支攣縮、気管支肉芽形成、気管支軟化症、二次性肺高血圧(さらに肺性心となる)などを合併し、なかなか人工換気療法から離脱できない。

 BPDの予防は困難であるが、人工換気中の条件設定(圧力、酸素濃度など)に細心の注意を払い。 BPDを可能な限り減らすようにしたい。最近、高頻度振動換気法や吸気に同調させて強制換気を行う(SIMVやPTV)方法は、肺の圧損傷を軽減させることによりBPDを予防できるかもしれないと期待されている。

 治療は対症療法で、①呼吸管理(肺の拘束性変化のコントロール)、②肺の障害をさらに悪化させない管理、③肺高血圧一肺性心の予防、④低出生体重児の一般的な治療からなる。そして、子どもが育つ中で肺胞も育つ(正常児は、在胎28週時の30×106の肺胞から8歳時の300×106の肺胞に育つ)ことで、自然軽快・治癒を期待して治療する。しかし、重度の気道の拘束性病変は成人するまで治らないこともある。具体的には、水分の過剰投与を極力抑えること、摂取カロリーの確保のためにMCTオイル・母乳強化剤の利用、肺水腫軽減のための利尿剤(フロセミドなど)の投与、気管支攣縮に対してはアミノフィリン投与、肺高血圧に対して鎮静が必要な時のフェノバルビタールクロルプロマジン、塩酸モルヒネなどの投与、副腎皮質ステロイド剤(デキサメタゾン)の投与などである。副腎皮質ステロイド剤の投与時には、感染症、高血糖、高血圧などの副作用に注意しなければならない。

 また慢性肺疾患の児は、酸素依存性かおるために入院が長期化する。最近は在宅酸素療法の利用者が増加しているが、その適応基準についてはいまだ充分には確立していない。家族ともよく相談をして、細心の注意をしながら進めていかなければならない。
 

急性期看護のポイント

O慢性肺障害(特にBPD)では、発症の危険因子・悪化因子を極力抑えることが重要である。急性期の肺損傷をできるだけ少なくするように努力する。例えば、人工換気療法中であれば、換気条件をむやみにあげないことと気管内吸引時には細心の注意を払うことが大切である。

○バイタルサインの評価が重要であることは言うまでもない。


慢性期看護のポイント

O慢性肺障害の児は、軽い呼吸器感染症であっても急激に重症化することを念頭に置かなければならない。すなわち、細気管支炎のような重症の状態になりやすく、突然死の頻度が高い。従って、①呼吸器感染症のある家族や医療従事者などは患児と接触しないように注意することと、②少しでも心配なことがあればすぐに病院を受診するように指導する。

OBPDの児は、1~2年は低酸素血症や高炭酸ガス血症が持続する。そのために、発育も悪く、神経学的長期予後も悪いことが多い。家族への子育て支援が重要である。地域保健婦、 NICUスタッフ、療育指導担当スタッフ、小児神経専門医などとの連携が大切である。