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二分脊椎症・髄膜瘤


 二分脊椎症とは脊椎の奇形により、神経麻痺(運動・感覚)、自律神経障害を生じる疾患で、嚢胞性二分脊椎症と潜在性二分脊椎症に分類される。前者は脊髄髄膜瘤(脊髄神経の一部が背中の皮膚の欠損部から外部に露出したものでたいていは薄い嚢胞で包まれている)と髄膜瘤(脊髄は外部に出ず、嚢胞のみが露出する)に分けられる。潜在性二分脊椎症は椎弓の癒合不全を認め、脊髄閉鎖不全、脊柱管内脂肪腫、皮膚洞などをともなうことがある。

 嚢胞性二分脊椎症はほとんど腰仙部に生じるため、脊髄神経の傷害をともなう場合は下肢の運動、感覚麻痺、膀胱直腸障害などを認める。しかし、脊髄神経の傷害の程度・発生部位により、障害の程度が違い、一般に傷害部位のレベルが高いほど、障害が強くなる。膀胱直腸に対する脊髄神経は一番下にある仙髄から出ているため、ほとんどの症例で膀胱直腸障害を認める。


脊髄髄膜瘤

 脊髄神経の障害は胎内で発生しており、回復は望めない。また、生下時から水頭症、アーノルド・キアリ奇形などの脳奇形を合併している場合が多い。また、脊髄が障害部位で脊椎管に癒着して係留するため、成長期になって神経症状を起こしてくることがある。脳の障害があると、後にてんかんを発疱する者も多い。

 ほとんどの症例で、尿意・便意を感じず、自律排尿便ができない。そのため本症では、生涯にわたって排尿、排便のコントロールが必要になる。

 運動障害も脊髄障害の程度により、独歩可能から車椅子歩行まで幅力1ある。生下時から下肢の奇形、変形を認める者もあるし、成長にともない、下肢や脊椎の変形をきたす者も多い。

 下肢の感覚障害を合併するため、怪我しやすく、重度の潰瘍などをつくりやすい。

 脊髄髄膜瘤は、以上のようなさまざまな問題を生涯にわたって抱える疾患であるため、小児科、脳神経外科泌尿器科、整形外科、リハビリテーション科、皮膚科、医療相談科などの往験のある多くの専門職がチームを組んで、その生涯にわたって関かっていくことが必要になる。現在では各分野で本症に対する治療方法が格段に進んでおり、障害を持ちながらも社会生活が充分にできる疾患になっている。


1……診断・検査

 診断は出生前から可能であるし、生下時には一目でわかる。


1)妊娠中

 胎児エコー、 MRIなどにより出生前診断が可能である。


2)出生時

 CT・MRIによる脊髄障害の有無、レベル、水頭症、アーノルド・キアリ奇形の有無などを調べる。下肢の奇形・運動・感覚障害の有無など。


3)その後

 神経障害の程度を確認していくこと。麻痺のレベルを神経学的診察、電気生理学的検査により判定する。膀胱・直腸障害の程度、タイプについては、肛門、陰茎の反応、ドライタイムの有無、膀胱・直腸内圧測定により調べる。その後の障害をチェック、防止する点から、腎・尿路障害(IVP、VCG)の検査を行う。


2……1台療

 生下時の嚢腫への対応(脳外科)としては、可及的に髄膜瘤を摘除し、感染を防ぐ。水頭症があれば、シャント術も必要になる。

 その後の対応としては、

 ①排便・排尿形態の選択(泌尿器科的):膀胱機能、内圧検査などにより、自然排尿か用手排尿か導尿かの選択。将来的には自己導尿による自律排尿。

 ②尿路機能の保全泌尿器科的):定期的な尿、尿路のチェック、尿路感染症・膀胱尿管逆流症の予防である。これを怠ると、腎機能障害、腎不全をきたすことがある。

 ③リハビリのゴール設定(リハビリ科):歩行か車椅子か。訓練と装具が必要。

 ④シャント機能のチェック(脳神経外科):機能不全が起こればシャント入れ替え。脊髄係留症候群、脊髄空洞症が進行すれば手術。

 ⑤整形外科的治療(整形外科):先天的及び後天的変形(下肢及び脊椎)に対する治療。

 ⑥教育的・社会的対応(各科および医療相談科):疾患、合併障害に関する教育、親の会への紹介、各種医療・福祉制度の利用の指導、入園・入学・就職などの社会的問題に対する指導、協力。

 ⑦発達、神経学的チェック(小児神経科):一般に本症では知能は傷害されないが、水頭症、アーノルド・キアリ奇形が重度になると問題が出てくる。時にてんかんが発症する。


以上を総合的に統括する、本症全般に精通したキーパーソンが必要になる。
 
○出生時の児に対しては、手術まで瘤の感染を防ぐよう、保湿・清潔などに細心の注意が必要である。術後の看護については、一般手術後、シャント後の看護に準ずる。

○親に対しては、他の奇形児の場合と同様に、親が障害を受け入れやすくなるよう、配慮しつつケアする。特に本症では、休む間もなく、手術になるため、医師とチームを組み、親の不安、疑問を解消するように務める。

O以後はほとんど各科での外来フォローとなるが、定期的な検査、時に手術(シャントトラブル、入れ替え、泌尿器科、整形外科的手術など)、訓練(リハビリ、自己導尿の修得など)が必要であるため、親が持っている疑問・問題が的確にキーパーソンの医師に伝わるように配慮する。