ギラン・バレー症候群の診断と治療

 ギラン・バレー症候群は、末梢神経の自己免疫機序により急速に全身の筋力低下が生じる病気である。ランドリーが最初に報告し、その後ギラン、バレーらにより記載された。


1……診断

 発症の2週間以内に、約3分の2の症例で上気道炎や胃腸障害などの先行感染による症状を認める。サイトメガロウイルス、EBウイルス、マイコプラズマなどの関与が知られているが、細菌性腸炎の主要原因菌のカンピロバクターが先行感染としてもっとも多いと最近では考えられている。

 通常両下肢より運動麻痺が始まり、数時間から1~2週間以内に両上肢、顔面へと上行し、重症の場合は呼吸筋にまで麻痺が及ぶ。四肢の麻痺は遠位部に強く、深部反射は減弱または消失する。

 感覚障害として位置覚、振動覚、触覚の低下が起こるが、運動麻痺に比べると軽度である。病初期に四肢の疼痛を訴えることもある。不整脈、高血圧、起立性低血圧、発汗異常などの自律神経症状や、尿閉などの膀胱直腸障害をともなうこともある。

 発症1週間目ごろより髄液蛋白が増加し4~5週でピークに達するが、細胞数の増加は認めない(蛋白細胞解離)。電気生理学的異常として、運動神経伝導速度の遅延や伝導ブロックを高率に認める。

 発症2~4週後より症状は回復しはじめ、6ヶ月以内に回復するが、種々の程度の麻痺を残す例もみられる。


2……治療

 呼吸筋麻痺の可能性を念頭においた呼吸管理がもっとも重要である。急性期には肺活量と血液ガス分析を繰り返し測定し、呼吸不全の早期発見に努める。気管挿管および呼吸器の準備が必要であり、肺活量の低下傾向を認めた場合は早めに人工換気療法を行う。血圧変動や不整脈などの自律神経症状は突然死の原因にもなるので心肺モニターは必須である。

 成人では血漿交換療法の有効性が確立されているが、小児においても罹病期間の短縮に有効である。また、カンマグロブリン大量療法は血漿交換療法と同等、あるいはそれ以上に効果があると報告されている。一方、筋肉の萎縮や関節拘縮を予防する目的で、急性期を過ぎたころからリハビリテーションを開始する。

○呼吸障害の進行を的確に把握して早めに対応する。一息で1から10まで言えない場合は肺活量の低下を疑う。人工換気を開始した場合は適切な気管内吸引と体位変換により無気肺や肺血栓を予防する。

○急速な筋力低下の進行は、小児にとって相当な心理的動揺を引き起こすと思われるので、不安や恐怖などを軽減させるための精神的な援助が重要である。人工換気療法施行中は、文字や絵のカードなどを用いて患児とのコミュニケーションを保つことに努力する。