小児の髄膜炎

 脳や脊髄を包んでいる髄膜に炎症が起こり、神経症状がみられる状態をいう。炎症の原因はほとんど感染であり、無菌性(ウイルス、マイコプラズマ、真菌)、化膿(細菌川生、結核性の各髄膜炎に分けられる。これらは、髄液中の菌の有無、細胞増多の内容などを確認することにより鑑別することができる。

 髄膜炎の多くは、上気道炎、咽頭炎、中耳炎などの感染症に引き続いて続発する。細菌性髄膜炎や結核性髄膜炎は免疫力の低い乳幼児が罹患しやすく、敗血症を起こしていることも多い。今なお死亡率が高く、重篤な後遺症を残すことも多いため、早急な診断・治療が必須である。数時間の治療の遅れが生死を分けることがある。


1……診断

1)臨床症状

 発熱、頭痛、吐き気、嘔吐がほぼ必発である。これに髄膜刺激症状(項部硬直、ケルニッヒ徴候など)があれば強く疑われる。

 乳幼児の場合は、髄膜刺激症状が出にくかったり、泣いていたりしてわかりにくいことがある。乳幼児が不機嫌、食欲がない、トロトロ寝て元気がない、ちょっとした刺激でビクつく、泣くという時は注意が必要である。この時、大泉門が膨隆している(頭蓋内圧の上昇)場合は髄膜炎が疑われる。痙攣や意識障害があれば特に重症であり、脳炎を合併している場合もある。

2)検査所見

 診断は髄液検査により下されるが、表1に各々の特徴を表記した。無菌性髄膜炎でも、脳炎を併発すると種々の障害を残すことがある。細菌性髄膜炎の場合、順調に経過してもあとで障害力1残ることがある。


3)その他の検査

 細菌性髄膜炎の場合、血液検査で強い炎症反応(CRP、赤沈など)、白血球(好中球)の著明な増多を認める。敗血症に陥っている場合、白血球加減少してしまうこともある。硬膜下や脳に膿搗を合併することも多く、頭部造影CTで膿瘍の周囲が白く造影される。脳機能の低下、脳膿瘍、治療後のてんかんの発疱などがあると脳波の異常をきたすことがある。

 無菌性髄膜炎では以上のような所見は認めない。

2……治療

 無菌性髄膜炎は、おもに対症療法だけで自然治癒することが多い。細菌性髄膜炎は起炎菌に最適の抗生物質を早急に使用する。前医での治療が影響して、時に菌種の鑑別に困難を生じることがある。副腎皮質ステロイド剤の使用についてはいまだ議論が分かれる。


腰椎穿刺

 診断および適切な治療のために必須の検査であり、介助の上手下手が検査がうまくいくか否かを左右するため、介助は非常に重要である。患見の全身状態を注意しつつ、充分な固定をする。特に幼児から年長児では聞き分けがなく、意外と力が強くて暴れることかおり危険なため、その介助に習熟する必要がある。刺入時に腰を伸展することかおり、これをできる限り防ぐ、複数の介助か必要なことも多い。


治療中のケア

O急性期は、無菌性髄膜炎でも細菌性髄膜炎でも、髄膜刺激症状のためわずかな刺激が苦痛を増すことかおり、必要以外の刺激を避けてできるだけ静かな環境を保つ。嘔吐による誤嚥性肺炎、上気道感染に合併する肺炎などの合併症を起こすことがある。

O特に細菌性髄膜炎や結核性髄膜炎の場合、急激な症状の変化、生命の危険をともなうため、常に観察できる個室を用意し、呼吸心拍モニターと併せて細かい観察・ケアが必要である。神経症状が著明になると、痙攣やチアノーゼ、呼吸停止をきたすこともあるので、常に救急用具を準備しておく必要がある。


○乳幼児の場合は、バイクルサインとともに意識の変化が病状の評価および脳炎合併の有無の重要な指標となるため、おもちゃや周囲への関心、痛覚等の刺激への反応、快不快などの感情の表出についても注意・記録が必要である。