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熱性痙攣:乳幼児期に生じる痙攣


 熱性痙攣は、一般に「38℃以上の発熱にともなって乳幼児期に生ずる痙攣で、中枢神経系感染症、水分・電解質不均衡など、痙攣の原因になる明らかな異常のないもの」と定義される。熱性痙攣の頻度は、欧米では2~5%、わが国では6~12%とされる。家族集積性かおり、発現には遺伝素因の関与が大きいと考えられている。初発年齢のピークは1~2歳にあり、大部分が4歳までに発疱する。また、熱発の初期で発熱の時間以内、大部分は数時間以内に体温の上昇期に痙攣を起こすことが多い。発作型の大部分は短い全般性痙攣であるが、10分以上の長い発作、身体の一部分の部分発作が起こることもある。熱性痙攣からてんかんが発現する率は、2~7%とされており、てんかん発症に関する要注意因子には、①熱性痙撃発症前の明らかな神経学的異常もしくは発達遅滞、②非定型発作(a。部分発作・発作の持続が15~20分以上、 b。 24時間以内の繰り返しのいずれか1つ以上)、③両親・同胞におけるてんかんの家族歴がある。熱性痙攣再発に関する要注意因子としては、①1歳未満の発疱、②両親または片親の熱性痙攣の既往がある。


1……診断

 診断は上記定義による。髄膜炎等中枢神経系感染症が疑わしいときは、腰椎穿刺により髄液検査を行う。電解質異常、脱水症、代謝異常、頭部外傷、てんかんを疑う所見のある時は、血清ナトリウム、クロール、カリウム、カルシウム、尿素窒素、総蛋白、ヘマトクリット値、血糖、アンモニア、 AST(GOT)、 ALT (GPT)、 CPK、酸ホスファターゼ、尿酸等の測定、 CT、 MRI、脳波などの検査が必要である。注意深い問診、神経学的所見から診断可能の場合が多いので、不必要な検査はするべきでない。


2……治療

 熱性痙攣の治療に対する考え方は時代とともに変遷している、最近わが国での公約数的指導ガイドラインがつくられた。現時点では、要注意因子をもたない熱性痙攣は、初回発作の場合無治療で経過観察する、2回以上発作を起こした例では、ジアゼパム坐剤の発熱時間歇投与を行う。要注意因子を持つ例では、まずジアゼパム坐剤の発熱時間歇投与(0。3~0。5 mg/kgを体温が37。5℃を越えた時1回挿入し、8時間後2回目を挿入する。1回目挿入後、24時間後にまだ高熱が続いている時は3回目を使用する。一連の発熱では3回以上坐薬を使用しない)を行い、無効であればバルプロ酸(20~30mg/kg/日)またはフェノバルビタール(3~5 mg/kg/日)の持続投与を行う方針で治療している。

○熱性痙攣は基本的には良性の疾患なので、保護者の不安を取り除くように対応する。

○熱性痙攣の起こった状況(発作前後の体温、発作の部位、発作型、持続時間、発作後の様子など)、発作以外の症状(咳、嘔吐、下痢など)、家族の熱性痙攣やてんかんの既往を詳しく聞き、医師に情報提供する。

○発作に遭遇したら保護者に心配しないように言い、発作の様子を観察記録する。発作が長く続く時、発作を止めるよう医師とともにジアゼパム坐薬の挿入、静脈ラインの確保、抗痙攣剤の静注などを行う。