慢性腎炎(小児科):IgA腎症、非IgA型の増殖性腎炎や巣状分節性糸球体硬化症など


 原発性の糸球体疾患で、異常尿所見または高血圧が1年以上持続するものを慢性糸球体腎炎、略して慢性腎炎という。基本的には、急性腎炎とは成り立ちが異なると考えられる。本疱の発見動機は、学校検尿などで偶然に発見される場合、上気道炎と同時に血尿、浮腫、高血圧などがみられる場合、高度の浮腫、蛋白尿などのネフローゼ症候群で発見される場合がある。このうち、昭和49年から実施されている学校検尿などで偶然に発見される場合がもっとも多い慢性腎炎のなかでもっとも頻度の高いものはlgA腎症で、ほかに非lgA型の増殖性腎炎、膜性腎症、膜性増殖性腎炎、巣状分節性糸球体硬化症などがある。肉眼的血尿やネフローゼ症候群でしか発見されない諸外国にくらべ、わが国では発疱早期に発見されることが多いため、予後が一般に良好な場合が多い。その代表例が膜性増殖性腎炎である。          


1……診断

 本症の診断は、基本的には腎生検による。無症状で偶然に発見される尿異常は、無症候性血尿や無症候性蛋白尿と称する。無症候性血尿、特に微少血尿(沈渣で赤血球が1視野20個以下)では、腎病変は軽微なことが多いので、経過観察のみのことが多い。ただ、上気道炎後などに肉眼的血尿がみられる場合は、lgA腎症のことがある。

 無症候性蛋白尿では種々の腎炎の可能性が考えられるので、0。5~1g/日以上の場合には腎生検の実施が望ましい。もちろん、蛋白尿で発見されるなかでもっとも頻度の高いものは、病的意義の乏しい起立性(体位性)蛋白尿であるので、これを確実に除外する必要がある。なお、軽度の蛋白尿の場合、腎低形成や水腎症などの尿路奇形が隠れていることが少なくないので、注意を要する。

 蛋白尿と血尿が一緒にみられる場合は、まず慢性腎炎である可能性が大きい。小児で0。5 g/日以上の蛋白尿がみられる場合、かなりの程度の腎病変をもつことが少なくないので、できれば腎生検を実施する。そのうえで、慢性腎炎の種類と程度を明らかにし、治療方針をたてる必要がある。


2……治療

l) leA腎症

 抗原はなお不明であるが、lgAを中心とした免疫複合体疾患である。6~7割は無症候性血尿・蛋白尿で、ほかは浮腫や上気道炎後の肉眼的血尿で発見される。多くは寛解するが、ゆっくりと進行する腎炎とも考えられ、長期的には10~20%が末期腎不全になる。現在、本症に確実に有効な治療法はない。中等度症例では副腎皮質ステロイド療法が、重症例では副腎皮質ステロイド剤、免疫抑制剤と抗凝固剤を含むカクテル療法が有効と思われる。

2)膜性増殖性腎炎(低補体性腎炎)

 早期発見・早期治療がもっとも効を奏する疾患のひとつである。持続的低補体血症が特徴的である。頻度の多いI型では、副腎皮質ステロイド剤のパルス療法十副腎皮質ステロイド剤経口隔日長期療法が有効で、発症10年で半数が腎不全になるといわれていた予後を大きく変えている。

O学校検尿などで尿異常を認めた場合、特に蛋白尿と血尿が一緒にみられれば、慢性腎炎の可能性が強いので、できれば早期に腎生検を施行し、正確な評価と治療方針をたてることが重要である。治療効果は、発症早期である方が一般に良好であり、時間がたも、硬化性病変が主体になってくればあまり期待できない。

O血尿単独例では、一般に軽度の腎病変であることが多く、普通生活で経過観察としてよい。慢性腎炎では、一般に蛋白尿の程度と腎病変の程度が相関することが多く、1g/日以上の蛋白尿は要注意である。ただ、小児では0。5 g/日程度の蛋白尿でも、比較的重症のlgA腎症であることが少なくない。

○軽度の慢陛腎炎では、運動制限は競技を避ける程度でよいと思われる。血圧などに問題がなければ、食事制限はまず不要である。

O中等度以上のlgA腎症などでは、副腎皮質ステロイド剤による単独療法や、副腎皮質ステロイド剤、免疫抑制剤、抗凝固剤を含むカクテル療法を施行することがある。副腎皮質ステロイド剤の初期連日投与中は、できれば入院して、血圧・眼圧や感染などに注意する(副腎皮質ステロイド剤の副作用)。免疫抑制剤を投与中の場合は、骨髄抑制や肝機能などに注意し、感染症(特に水痘)に留意する。ヘパリンやワーファリンなどを投与している場合は、出血傾向につねに留意する必要がある。

○1ヶ月以上の長期入院の場合、学習は充分可能なことが多いので、院内学級の付設した病院が望ましい。