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ヘノッホ・シェーンライン紫斑病(血管性紫斑病)


 シェーンライン・ヘノッホ紫斑病、アレルギー性紫斑病、アナフィラクトイド紫斑病などとも呼ばれる。全身の毛細血管から小血管の血管炎が起こり、紫斑、血管運動性浮腫(局所)がみられる。血管炎が強く現れた部位により、関節痛・腹痛・腎炎などの主要症状がみられる。lgA腎症に類似する症例や溶連菌・ウイルス感染、食餌アレルギーが誘因になったと思われる症例かおり、免疫学的な機序が想定されているが、詳細は不明である。相当数が自然治癒するが、遷延したり再燃する症例が散見される。

 長期的予後を左右する腎炎は約半数に起こり、紫斑病発症後数日~2ヶ月以内にみられることが多い。2年以上を経過して尿所見に異常を認めた報告例もある。長期的には、腎不全に移行する症例が5%以上あると考えられる。

 強い腹痛を訴える児の鑑別診断には、この疾患を念頭に置いて皮膚症状を探す。時に皮膚症状が遅れて出現するものがあり、診断に苦慮する。内視鏡検査で消化管粘膜の出血斑が観察される。浮腫が起こった部位を先進部として腸重積症が起こることもある。まれではあるが重篤な合併症として、消化管穿孔、痙攣がある。


1……診断

 ヘノッホ・シェーンライン紫斑病に特異的な検査所見はないので、臨床所見からこれを疑い、ほかの疾患を除外して診断する。出血傾向の鑑別として、血小板減少がないこと、凝固系(PT、APTT、フィブリノーゲン)が正常であることを確認する。血管炎が強いと血液や尿のFDPが陽性化し、Dタイマーは高値となる。典型例では、両下腿前面や外踝に点状出血斑がみられ、足関節周囲の浮腫と疼痛を認める。2~4週間の経過で自然治癒するものが多い。すでに尿所見に異常があるか、腹痛・関節痛が強い症例は入院観察とする。


2……治療

 血管性浮腫や関節痛に対してはアスピリン、腹痛にはスコポラミンを試みる。腹痛が強い場合には、プレドニソロン1~2mg/kg/日を静注し、安定したら漸減する。

 腎炎・ネフローゼ症候群を発症した症例には、抗血小板薬とともにプレドニソロン2mg/kg/日(60mg/m2/日)を開始し、蛋白尿が高度の症例には副腎皮質ステロイド剤のパルス療法を行う。免疫抑制剤・抗凝固剤の併用が有用と考えられている。腎炎発症後3ヶ月時の腎組織所見は、長期予後とよく相関するとされているので、病像が固定するまでの治療が重要である。


病歴聴取のポイント

○主要症状(紫斑、血管運動匪浮腫、関節痛、腹痛)発現・消退の時期・部位。
○病巣感染(扁桃炎、う歯、副鼻腔炎など)の有無と最近の既往。
○本人および家族の食餌・薬物アレルギー歴。


観察のポイント

○点状出血からやや膨隆した紫斑。消退する途中に紅斑(血管拡張)が残ることがある。
O関節部のほか、頭皮、外陰部などに疼痛をともなった浮腫。
○腹痛、腹壁の緊張の程度、便の性状。   
○頭痛、意識状態、痙攣。