ターナー症候群:身体徴候と合併症


 ターナー症候群は、一つのX染色の欠損、または、短腕の一部欠損に起因する性染色体異常症である。低身長、ターナー身体徴候、原発性性腺機能低下症を臨床的特徴とする。

 1938年にHenry Turner により、低身長、翼状頸、外反肘、および二次性徴の欠如を認めた女性をターナー症候群とした。その後、染色体分析の技術がすすみ、 46、 X、 i (Xq)、 46、 X、 del (Xp)、 46、X、r(X)などのX染色体の片方の構造異常によるものや、 45、 X/46、 XX、 45、 X/47、 XXX、 45、 X/46、 X、 i(Xq)などのモザイク例が報告されるようになった。

 頻度は、女性の約1000人に一人であり、自然流産する胎児の約10%は、45、 Xと推定されている。一方、 45、 Xの胎児の95~99%は、自然流産されると言われている。

 症状は個人差が大きく、染色体の核型にある程度左右される。低身長がもっとも多く見られ、無治療の場合の平均最終身長は139 cm前後である。ターナー症候群によく認められる身体徴候を以下に示した。

毛髪線の低位、翼状頸、短頸、屆状胸郭、外反肘、第4中手骨の短縮、色素性、母斑、高口蓋、リンパ浮腫、腎の異常(馬蹄腎など)、心血管系の異常(大動脈縮窄症など)、高血圧

また、合併症も時に経験する。原発性性腺機能低下症としては、無月経、乳房発育不良、体型の幼稚症、不妊症がみられる。典型的な症例では、卵巣は痕跡的で索状であり、エストロゲン分泌能が欠如している。しかし、乳房発育良好な症例も10~20%に認められ、月経のある症例もある。妊娠した症例も50例以上あるとの報告がある。

合併症

耳鼻科的異常:中耳炎、神経性難聴

眼科的異常:斜視、眼瞼下垂

整形外科的異常:先天性股関節脱臼、側弯症

内分泌的異常:糖尿病、肥満、橋本病、自己免疫性甲状腺疾患(バセドウ病


1……診断

 確定診断は、染色体検査による。末梢血の染色体検査結果が46、 XXの正常で、皮膚の線維芽細胞の染色体検査で異常を確認できる場合もある。

2……治療

①低身長:ヒト成長ホルモン剤が使用される。ヒト成長ホルモン剤の効果が少ない場合、蛋白同化ステロイド剤を併用することもある。

原発性性腺機能低下症に対して女性ホルモン補充療法を行う。二次性徴の発現、月経の発来、骨粗鬆症の予防、脂質代謝の改善が目的である。

 しかし、早く始めると、骨端線が閉じて低身長になるため、15~17歳で始めることが多い。エストロゲンを投与し、月経が始まればプロゲステロンを加えるカウフマン療法が一般的である。

 不妊に対して人工授精を行うこともある。

③患者教育:両親に、さまざまな治療法について情報を提供する。親の会の紹介。

④その他:先に述べた合併症があれば、その治療を行う。心血管系異常や性腺腫瘍の合併(染色体分析でY染色体の一部をマーカー染色体としてもっている症例では、 30%の確率で性腺芽細胞腫が発生する。このような症例では性腺摘出術を勧める)がなければ、生命予後は良い。

 

看護ポイント

ターナー症候群は、知能は全く正常であり、通常の社会生活ができる。ほとんどの症例は、低身長と原発性性腺機能低下症のみに悩む」ことを、まず医療従事者は知らねばならない。

両親および本人に病名が告げられた時、その精神的ショックは計り知れないものがある。看護婦も病態や合併症を充分理解して、医師とともに相談に応じる。

親の会・患者さんの会を紹介する。