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錠剤とカプセル剤、ドリンク剤との効き目のちがい

 

 よく、病院で「先生、注射をしてください!・」と訴える患者さんがいますが、何となく、注射のほうが、飲み薬より速く効くことを知っているのでしょうね。

 また、実際、発熱の場合には、注射のほうが効き目が速いのも事実です。

 では、同じ飲み薬でも、錠剤、カプセル剤、ドリンク剤のちがいはあるのでしょうか。ちがいがあるとすれば、どうちがうのか、次に説明しましょう。

 錠剤、カプセル剤などの飲み薬を飲む場合は、静脈注射のように投与直後から循環血液中の薬の濃度が最高値に達することはありません。薬剤を飲んだ後、循環血液中の薬の濃度は、徐々に上昇していき、30分~1時間後に薬の濃度が最高値に到達します。その後、循環血液中から徐々に減少していきます。

 ところが、ドリンク剤を飲んだ場合や、薬の溶け方が極めて速い錠剤(速放錠剤)を飲んだ場合には、循環血液中に薬が速やかに入り、循環血液中の薬の濃度がシャープに上昇します。

 しかし、あまりにも循環血液中の薬の濃度の上昇が速いと、薬の濃度が治療濃度を超え、副作用のでる高濃度にまで達してしまいます。そこで、薬の吸収の速度を遅くし、かつ長い時間にわたって循環血液中の薬の濃度を治療濃度範囲内に保つため、徐々に薬が溶けだす「徐放性薬剤」が開発されています。

 たとえば、風邪薬の徐放性カプセル剤(ダンーリッチ、コンタック600など)、抗ぜんそく薬のテオフィリンの徐放性薬剤(商品名テオドール、テオロング、スロービットなど)です。

 気管支ぜんそくの発作は、夜中から明け方にかけて多く起こります。

 午前1時から7時頃が気管支ぜんそくにとって「魔の時間帯」などと言われていました。テオフィリンの徐放性薬剤を1日1回飲んでおけば、肺機能の低下する夜中から明け方まで治療濃度が維持され、ぜんそくの発作から解放されるようになりました。この技術は、ぜんそくの治療において画期的な進歩になりました。

 これらの徐放性薬剤は、薬剤から薬が12時間とか24時間にわたってゆっくりと溶けだすように作られています。したがって、徐放性薬剤の中には、薬が半日分あるいは1日分も含まれています。

 ですから、徐放性薬剤を飲む場合は、絶対に口の中で喘んではいけません!・ 半日または1日分の薬が、一度に溶けだしてしまうので危険です。

 薬剤を飲んだ後、循環血液中の薬の濃度が上昇していく部分は、体内に薬が吸収されて入る速度を表します。吸収される速度が速ければ速いほど、循環血液中の薬の濃度の立ち上がりは急になります。

 循環血液中の薬の濃度は、吸収速度のほかにも吸収される薬の量にも影響を受けます。薬の吸収速度が同じでも吸収量が多いと、循環血液中の薬の濃度は高くなります。逆に、薬の吸収量が少ないと、循環血液中の薬の濃度は低くなります。

 さらに、腸溶性の錠剤を飲んだ時は、錠剤が胃を経て小腸に達しないことには溶けないので薬が吸収されて循環血液中の薬の濃度が上昇しはじめるまでに、約1時間のロスができます。この現象を専門用語で「吸収待ち時間」と呼んでいます(左図参照)。また、食後に腸溶性の錠剤を飲むと、食事の内容によっては胃のphが上がり、誤って胃で錠剤が溶けだしてしまったりすることもあります。医師、薬剤師の服薬指示を正しく守ってください。

 循環血液中の薬の濃度が最高値を過ぎた後、ゆるやかに減少していく部分があります。この部分を専門用語で「消失相」と呼んでいます。この消失相における循環血液中の薬の濃度が半分になる時間が、飲み薬の薬としての半減期になります。

◆注射は、速く効くが、速く効果がなくなる。
◆当然のことながら体の大きさによって、注射薬の量は異なる。

長い時間、薬を効かせるための薬剤があるから、絶対に噛んだりしてはいけない!

『薬の聞く人、効かない人』高田寛治著より