薬剤の服用回数は、何を基準にどうやって決められているのか

 

 薬剤を標準的な投与法で繰り返し飲んでも、循環血液中の薬の濃度が治療濃度範囲内に入るまで、薬の効果はでません。

 では、薬剤をてっとり早く「飲みはじめてすぐに効かしたい」という場合は、どうすればよいでしょうか? このような場合は、最初に飲む薬剤の投与量を2倍にすればよいのです。そうすれば、治療開始後、1回目の薬剤を飲んだ直後から、循環血液中の薬の濃度を治療濃度範囲内に持ちこむことができます。

 ただし、この方法には、注意が必要です。

 過去にその薬剤の常用量を正しい投与間隔で繰り返し飲んだ時、副作用がなかった場合に限られます。すなわち、その薬剤の繰り返し投与により、循環血液中の薬の濃度が定常状態に到達し、その時の循環血液中の薬の濃度が2倍にまで上昇していた、という暗黙の了解が必要なのです。このような条件が満たされていれば、最初の服用で、2倍の量を飲んでも大丈夫だからです。

 薬の服用回数は、何を基準にどうやって決められているか、という素朴な疑問があります。1日3回、毎食後に服用という飲み方がもっとも多いようですが、その根拠はどこにあるのでしょうか。

 日本人は薬の副作用として、胃腸障害の率が高いため、食後に飮む薬剤が多いと言えます。そうすると、毎食後、1日3回が一般的な服用回数になります。

 さらにもう一つの理由として、薬の半減期として、約8時間の値を持つ薬剤が多いからでもあります。

 では、薬の半減期が8時間以上の場合はどうでしょうか。

 薬の半減期が約が一時間と長い薬剤は、投与間隔を24時間に設定するので、1日1回飲むことになります。また、薬の半減期が約12時間の薬剤は、投与間隔を12時間に設定するので、1日2回飲むことになります。

 「1日1回飲む薬剤は、効き目がもっとも強く、次が1日2回飲む薬剤で、1日3回飲む薬剤は効果が弱いので頻繁に飲む」と言うことではありません。

 薬の半減期の長い薬剤は、薬としての効果が強いのではなく、飲んだ後、循環血液中に薬が長時間とどまり、効き目が長続きしやすいということになります。

 逆に、薬の半減期の短い薬剤は、飲んだ後、循環血液中から短時間に処理されて消えていきます。したがって、その薬の最低治療濃度を維持するため、薬剤を飲む回数を頻繁に行わなければならないのです。