副作用には個人差がある

 

 医薬品情報として集められている薬の治療濃度の値は、あくまで平均的な値です。また、同じ量の薬剤を飲んでも、副作用がでなかったりでたりします。これは、人によって薬剤からの薬の吸収、分布、代謝、排出に個人間の差があるためです。

 薬剤を飲んだ後、薬を吸収するスピードが速い人は、循環血液中の薬の濃度が非常に高い濃度にまで上がります。

 もし、副作用の現れる濃度の数値が低ければ、薬の吸収の速い人は、副作用がでてしまいやすいことになります。この副作用のでる循環血液中の薬の濃度は人さまざまです。薬の副作用がでやすい人、でにくい人があることはわかっていただけると思います。

 

*繰り返し投与の副作用

 前述の説明は、薬剤を1回だけ飲んだ後のことです。

 ふつう、1週間から数週間、慢性の病気は数年にわたって薬剤を飲むことになります。このような場合は、前に触れましたが体内への薬の蓄積ということにも注意しなければなりません。薬剤の繰り返し投与によって、循環血液中の薬の濃度が高くなり、やがて薬が作用を発揮する濃度範囲の上限値を超えると、副作用がでるのです。

 そこで、病院では臨床上、重要な薬剤について「TDM」と呼ばれる業務を行っています。TDMとは、患者さんから定期的に採血を行い、循環血液中の薬の濃度を測定し、その値に基づいて、治療の方針を薬剤師が医師に進言することです。

 循環血液中の薬の濃度が、副作用のでる濃度にまで上昇しそうであれば、薬剤の投与量を減らしたり、薬剤の投与間隔を長くしたり、薬剤の飲み方を工夫することによって、副作用を回避させています。

 しかし、問題は「彼らは私と同じだけの量の砂糖を摂取しても糖尿病にならないのに、なぜ私だけが糖尿病にかかるのだろうか」という点です。

 薬剤の場合も同じで、同じ薬剤を同じ量飲んでも、どうして副作用のでる人とでない人とがいるのでしょうか?

 最近の研究で、これは「遺伝的な原因」ということがわかってきました。