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複数の薬の相互作用が原因で副作用が起こる

 

 さて、問題はまだまだあります。慢性疾患の人が新たな病気にかかると、今まで飲んでいた薬剤以外に新しい薬剤を飲まなければなりませんが、薬剤の取り合わせが悪いと、新たな副作用に悩まされることになります。また、以前からの病気が悪化することもあり、大変危険です。

胃潰瘍薬と睡眠薬

 たとえば、胃潰瘍薬のシメチジン(商品名タガメット、カイロックなど)を毎日飲んでいて、たまたま夜の寝つきが悪くて睡眠薬を処方されたとします。その際、トリアソラム(商品名(ルジオンなど)という睡眠導入の薬剤を飲むとグッスリ眠れます。しかし、翌日にトリアソラムによる副作用として、ふらつき、物忘れなどが強くでます。

 これは、シメチジンがトリアソラムの代謝を阻害し、循環血液中のトリアソラムの濃度を長時間にわたって上げるからです。このような場合は、副作用がでたということを医師、薬剤師に報告し、相互作用のでない薬剤に変更してもらってください。

抗うつ薬と鎮痛薬

 ガンの痛みの治療薬として使われる鎮痛薬のモルヒネ抗うつ薬の塩酸アミトリプチリン(商品名トリブタノールなど)、とを併用すると、モルヒネの作用が強まり、呼吸の低下、錯乱、意識障害などの副作用が現れることがあります。

*抗ぜんそく薬と風邪薬

 抗ぜんそく薬のテオフィリン(商品名テオドール、テオロング、スロービット、ユニフィル、ユニコンなど)を飲んでいる人が、風邪をひいて発熱したとします。この場合、抗生物質のエノキサシン(商品名フルマーク)が処方されたとすると、エノキサシンはテオフィリンの代謝を阻害し、循環血液中のテオフィリンの濃度を上昇させることになり、頭痛、吐き気、不整脈、不眠といった副作用を起こす危険性があります。

*抗アレルギー薬と風邪薬

 抗アレルギー薬のテルフェナジン(商品名トリルダン)を飮んでいる人が、風邪をひいて発熱したとします。この際、抗生物質のエリスロマイシン(商品名アイロタイシン、アイロソッ、エリスロシンなど)が処方されると、エリスロマイシンはテルフェナジンの代謝を阻害するので、不整脈などテルフェナジンの副作用がでやすくなります。

緑内障薬と心臓病薬

 緑内障薬のマレイン酸チモロールの点眼薬(商品名チモプトールなど)を使っている人は、点眼後、涙管を通って鼻の粘膜からチモロールが吸収されます。もし、狭心症薬の塩酸ベラパミル(商品名ワソランなど)のような心臓に作用する薬剤を併用すると、全身性の副作用として、徐脈がでやすくなります。

睡眠薬と風邪薬

 これから説明する例は、実際にあったことです。

 自律神経失調症で、時々、睡眠薬を飲んでいた人がいました。仮に原さんとしておきましょう。原さんが風邪をひきました。医院に行くとエリスロマイシンという抗生物質を処方されました。

 家に戻って、原さんはエリスロマイシンを1日4回、3日間飮みました。

 3日目の夜にどういうわけか寝つきが悪かったので、今まで使っていた睡眠薬のトリアソラムを1錠飲みました。

 ところが、その翌朝は目が覚めず、昼になってやっと目が覚めました。原さんは驚きました。なにしろ、目が覚めたら昼過ぎだったからです。あわてて連絡して、その日は会社を休んだのですが、目が覚めた後も頭がボーツとして、一日中気分がすぐれない、という状態になりました。

 この原因は、エリスロマイシンがトリアソラムの代謝酵素であるCYP3A4に作用し、トリアソラムの代謝を阻害したためです。トリアソラムの代謝が阻害されたため、原さんにとっては常用量となっているトリアソラムをいつも通り飲んだ時、循環血液中に入ったトリアソラムの代謝が遅くなり、いつまでも循環血液中に残って、翌日の昼まで眠ってしまったという副作用が起こったのです。

『薬の聞く人、効かない人』高田寛治著より