読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

他覚的聴力検査

 今までのべてきた聴力検査は自覚的聴力検査といい、小学生以上の人を対象にし、被検者

が自分に与えられた音や言葉を自覚して反応することを指標にしている。乳幼児ではこのような検査は無理で、三歳をすぎないと検査ができない。状況によっては、成人でもこの検査をおこなうことはむすがしい。

 

 他覚的聴力検査では、主に人体に発生する電気現象を指標にする。音刺激が内耳に入って、聴覚路を上行して大脳皮質まで行くときに、微小な電気現象が生ずる。これを増幅しコンピュータで加算する。いくつかの方法があるが、代表的なものをのべる。

 

「聴性脳幹反応」(auditory brainstem response(ABR)は、内耳から脳幹までの電気現象を探る方法で、信頼度が高く、最も広く使われている。五つから七つのピークをもつ波があらわれる。この波の出現する時間(潜時)と波の高さで、きこえの異常やその責任部位がわがる。

 

 聴性脳幹反応の検査は、聴力検査として使用されるだけでなく、意識障害がある人の脳幹の状態を推定する場合(脳死の判定)や全身麻酔の深度を知るためにも使用されることがある。

 

 その他、第二章の内耳のところでのべた耳音響放射を利用する方法も使用される。

 

e インピーダンスーオージオメトリー

 

 他覚的聴力検査の一つで、中耳の伝音機能を測る。滲出性中耳炎の検出に使用される。

f 乳幼児の聴力検査

 

 以前は、乳幼児の聴力検査は困難であった。検査器械がない時代には、音にたいする乳幼児の身体そのものの反応や行動を指標にしていたので、検査には制限があった。二十数年前に、脳波とコンピュータを用いた聴力検査法が出現して標準化され、状況は一変した。

耳科学-難聴に挑む  鈴木涼一、小林武夫著より