読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

混合性難聴

 

 これは伝音性難聴と感音性難聴とが混在しているもので、実際にはこのタイプの難聴は少なくない。聴力検査では骨導の値の方が、気導の値よりいくぶんか良好である。手術により伝音性難聴の部分が改善すれば、聴力は骨導の閾値までよくなる。補聴器が役立つ場合が多い。多くの経験と訓練を必要とする。細かな技術とむずかしい判断を常に要求されるそんな微細な耳の手術の成功率が今日飛躍的に改善したことなど、ぜひ一般の多くの方にも知っていただきたいと思う。

 

b 感音性難聴

 

 これは、内耳、音を伝える蝸牛神経、音を分析・認知する脳幹、大脳のうちのどこかに異常がある場合である。その多くは内耳の障害によるものであるが、CTスキャンやMRIなどにより、脳の中の病変部位もかなり正確に探り当てることができるようになった。

 

 感音性難聴は、聴力検査をすると、気導聴力の値と骨導聴力の値がほぼ同じであることから診斷がつく。感音性難聴の程度は、軽度から聾まで広範囲である。内耳が障害されている感音性難聴では、高音が障害されていることが多い。内耳が悪いと、音を大きくすると耳にひびいて困る現象(リクルートメントあるいは補充現象)がある。感音性難聴は、音の分析機構が障害されているので、きいた言葉の理解す音の方向感が悪い。これらの理由で補聴器があまり役に立たず、利用がむすかしい。

 

 感音性難聴は可逆性変化であることもあるが、いったんこの状態になればほとんどが非可逆性であり、改善することは少ない。高度に発達した神経系は再生しないのである。純粋な感音性難聴はこの意味で治療が困難なことが多く、手術の対象にはなりにくい。

耳科学-難聴に挑む  鈴木涼一、小林武夫著より