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薬剤の副作用

 

 抗結核剤のストレプトマイシン(これをつくったワクスマンは一九五二年ノトペル賞を受賞した)や梅沢浜夫がつくったカナマイシン、ゲンタマイシンなどの薬剤は、アミノダリコシド系という抗生剤で、内耳の有毛細胞や蝸牛神経などを破壊して、感音性難聴をつくることがある。この場含、耳鳴りやめまいを伴う両耳の難聴が高音側から発現する。進行すると低音絨七難聴となる。難聴が発現するまでに要する薬剤の使用量には個人差が大きく、極端な場合、一回の注射で発現することもある。遺伝的要素が大いに関係することがわかってきた。また肝臓や腎臓に障害があると、薬物の解毒や体外への排泄がおくれ、難聴が出現しやすい。一度、難聴が発現すると治療法がない。

 

 かつては結核が不治の病であったので、胸部や腎臓の結核が治癒さえすれはよいとして、副作用は間題にしない時期もあった。現在は、結核治療に種々の薬物が間発されていて、聴器毒性をもたないものを第一選択とする。もし聴器毒性のある薬物を使用するときは、頻繁に聴力検査をおこなう一方、多少でも耳鳴り、めまいなどを訴えたらすぐに投与を中正する。また、あらかじめ投与して難聴の発現をおさえる予防薬の間発も研究されている。

 

 キューネ、砒素化含物、利尿剤、制癌剤(シスプラチンなど)、免疫療法剤(インターフェロン)なども難聴を引きおこす。以前から安全といわれてきたアスピリンも、難聴をおこすことがあるが、聴力が回復することが多い。薬は両刃の剣であることを忘れてはならない。

耳科学-難聴に挑む  鈴木涼一、小林武夫著より