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頭部外瘍 による難聴

 

 交通事故や労働災害で頭を打ったあとに、難聴が生ずることがある。中耳・内耳が収まっている骨(側頭骨)に骨折があって、鼓膜が破れたり、耳小骨連鎖が断裂したりする。内耳要因の蓄積による部分も大きいと考えられる。近年、遺伝子が老化に関係することがわかってきており、この面での研究が期待される。

 

 老人性難聴は両側同程度に進行する。高音域からは高まり(鳥のさえずりがきこえなくなる)、六〇歳代以降では聴力低下の進みも早く、進行すると低い音もきこえなくなる。一番の間題は、中枢神経に変化があるので、語音弁別能の低下があることである。音はきこえても意味がとりにくい。

 

 純音による聴力検査をすると、難聴を自覚していなくても四〇〇〇ヘルツ、八〇〇〇ヘルツの高音域では検査値が悪くでる。これはすべての人に共通した現象である。蝸牛内の有毛細胞が、中耳に近い基底回転の方から壊れていくからである。加齢によりこれが促進される。有毛細胞以外にも、血管茱、有毛細胞をのせている基底板の変化、さらに有毛細胞からのインパルスを中枢に伝える神経細胞(らせん神紅節細胞)と神経線維の脱落や変性がある。このらせん神経節細胞は一〇歳代に三万数干あったものが九〇歳では一万八〇〇〇に減少しているという報告がある。つまりらせん神経節細胞は、一年に二〇〇個ずつ消滅していくという。音刺激を伝える上位の脳幹の中継核にある神経細胞、大脳皮質の細胞も、加齢とともに減少する。

 

 初期は高音域の低下であるが、進行すれば全周波数にわたり聴力が低下する。聴力検査をすると高音漸傾型というタイプになる。重要なことは、中枢神経内の聴覚系の神経細胞が消滅することにより、音の分析能が低下することである。つまり、言葉の明瞭度が低下する。音がきこえても意味がとりにくい。方向感も低下する。これらの事実が、高齢者では補聴器を装用して音を大きくしただけでは、あまり役に立たないことにつながる。

 

 糖屡病や動脈硬化など他の病気が加わっていない、健常な加齢過程による老人性難聴では、七〇歳をすぎる頃まで補聴器を必要としないことが多い。

 

 補聴器の装用には、あらかじめ専門医の診察を受け、各人の難聴に合った補聴器を使用する必要がある。しかし、次のような間題がある。

 

 一早口でしゃべられると意味がとれない。

 

 一電車の中や交通の激しい騒音のあるところではききとれない。

 

 ・多くの人がいる駅の待合室、体育館、講演会ホール、会議場でもききとれない。

 

 ・補聴器のスイッチ操作に不便を感じる。

 

 これらの理由で、高齢者は補聴器をつけたがらない。周囲の人は、高齢者にたいしては思いやりをもって、対面しながら、ゆっくり、はっきりしゃべることである。静かな自室で過