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騒音性難聴

 

 騒音を発する現場については、労働安全衛生法により適正な管理がなされるように指導がおこなわれている。労働条件は労働基準法によって管理されている。

 

  • と②の減音対策は費用がかさむし、騒音防止の対策としては実行困難なことがある。このような場合は「作業管理」が必要となる。労働時間の短縮や職場転換毛おこなわれる。個人レベルで昔からおこなわれているのは防音保護具の装着である。耳栓はプラスチック、ゴム、シリコン(形を各個人の外耳道に含わせることが可能)などがある。強烈な音は、耳栓だけでは遮音できず、耳の周囲をすっぽり覆うイヤマフ(耳覆い)の方が効果は大きい。これでも骨導で騒音が内耳に伝わるので、頭全体を覆うヘルメットもある。イヤホンを組み込み、騒音下でも会話を可能にしたものもある。ジェット戦闘機のパイロットのヘルメットはエンジンの強烈な騒音から耳を保護している。上記の防音保護具は正しく装着しないと保護効果は減じてしまう。実際には、囗を動かしただけでも耳栓はゆるんでしまう。

 

 騒音性難聴は、強大な音により、内耳が機械的に損傷され、また、内耳の細胞内の代謝過程に変化が生じる。さらに自律神経を介して内耳の栄養血管の循環障害をおこして、難聴が増強する。内耳の代謝過程の分子生物学的な研究によって、少しずっではあるが解明が進んできたので、薬物などが予防と治療に使われる日がくるかも知れない。

 

 労働者の聴力管理として、オージオメータによる選別聴力検査がおこなわれている。入社時には、各耳で一〇〇〇ヘルツと四〇〇〇ヘルツで、それぞれ三〇デシベル以内、その後は年一回の定期検診で、一〇〇〇ヘルツで三〇デシベル、四〇〇〇ヘルツで四〇デシベル以内で判別する。

 

 一九九二年(平成四年)一〇月一日の通達で、騒音レベルハ五デニヘルの作業場での労働者には、二五〇、五〇〇、一〇〇〇、二〇〇〇、四〇〇〇ヘルツの聴力検査が六ヵ月ごとにおこなわれるようになった。定期的におこなう検査では、検査条件を等しくしなければならない。たとえば、日曜朝の聴力が一番良好であることを知らねばならない。日本耳鼻咽喉料学会では、会員を対象に講習会を間き、つづいて試験をおこなって、騒音性難聴予防の専門家を育成認定している。

 

 世界における騒音管理と聴覚保全の問題をみると、先進国と発展途上国との間のギャップが大きい。後者の国のなかには、騒音がI〇〇デシベルをこえているような環境があっても何らの対策がとられていないところがあり、問題の解決はこれからであるという(中井義明氏による)。

耳科学-難聴に挑む  鈴木涼一、小林武夫著より