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肝硬変の食事摂取状況と栄養管理指導

 

 肝硬変症では各種栄養代謝異常が認められ、病態改善の基本として適切な栄養管理指導が必要である。身体計測を含む栄養アセスメントを行うとともに、食事摂取状況の把握とそれに基づく症例ごとの食事指導が重要と考えられる。ことに肝不全用経腸栄養剤服用例では、摂取蛋白に制限があることが多く、低蛋白食の指導を含めた食事指導が必要となる。肝疾患に対する食事は、従来肝臓食として、疾患別にその区分を分け処方される場合が多かったが、最近、体重あたりの栄養素摂取量を設定し、症例ごとに食事処方を行うことが試みられている。肝硬変症ではインスリン抵抗性を基礎とする耐糖能異常を伴うことが多く、体重あたりの栄養素摂取量を設定することは血糖値管理の面よりも重要となる。食事摂取量設定基準を作成し、食事処方や食事指導に応用している。

 

 外来通院中の肝硬変症例(17例)について、3日法による食事摂取調査を行い、症例ごとの食事摂取量を設定し、設定値と実測値との比較検討を行った。その結果、設定基準と比較して熱量、蛋白質、脂質が設定値の10%をはずれる症例を53~65%認め、ことに蛋白質では設定量より過剰である例が4例(24%)に見られた。蛋白不耐症を有する場合には過剰蛋白摂取により、高アンモニア血症を惹起し、肝性脳症を引き起こす危険もあるため、症例ごとの適切な食事指導が必要となる。

 

 栄養士により具体的な食品群別のバランスのとれた食事指導を行うことにより、多くの症例で食事摂取状況の改善を経験する。食事調査指導の頻度は、原則として病態の変化進展がみられる場合には、それに応じて食事摂取基準を変更する必要があり、病態の変動がない場合でも、年に1回程度、総合的な栄養アセスメントとともに食事摂取状況の再確認することが望ましいと考えられる。