顆粒と経腸剤との使い分け

 

 顆粒製剤は非代償性肝硬変でも食事制限がなく、さらに低蛋白血症のみられる症例が投与の対象である。一方、肝不全用経腸栄養剤は肝性脳症既往があり、蛋白不耐症の症例がその適応で、それぞれ対象が異なる。したがって顆粒製剤の服用経過中に蛋白不耐症や脳症が出現すれば経腸栄養剤に切り変える必要があるが、経腸栄養剤から顆粒製剤への切り変えが可能か否かは蛋白不耐症の有無を含め慎重に考慮すべきと考えられる。

 

 しかしながら、実際に、経腸栄養剤服用例で副作用により服薬継続が困難な肝硬変における経口分岐鎖アミノ酸製剤の使い分け例や、糖尿病合併により食事制限が著しくなる例など、顆粒製剤への切り換えが必要と考えられる症例もあり、症例ごとにきめ細かな検討が必要である。さらに経腸栄養剤が常用量服薬できない場合に、分岐鎖アミノ酸補充の目的で肝不全用経腸栄養剤と顆粒製剤との併用を行うか否かといった問題も、その利点につき明らかにすべき将来的課題と考えられる。

 

 肝硬変に対する経口分岐鎖アミノ酸製剤の使い分けのフローチャートを示した。蛋白不耐症の有無より製剤の選択を行うことと、経口分岐鎖アミノ酸製剤の効果を十分に得るために血清アルブミン値などの栄養評価を行い投与開始のタイミングを逸しないことが重要である。具体的には、肝硬変症で非代償性と考えられる症例では肝性脳症の既往や蛋白不耐症の有無を確認し、蛋白不耐症を認める場合には、低蛋白食とともに経腸栄養剤を投与する。肝性脳症の既往や蛋白不耐症がない場合は、さらに栄養評価を行い、血清アルブミン値や、 Fischer比を参考にして顆粒製剤の適応を決定する。また、黄疸、腹水、浮腫、出血などを認めない代償性肝硬変と考えられる症例で仏栄養評価を行い、血清アルブミンなどが低下している場合は低栄養状態と考えられ、顆粒製剤の適応があると考えられる。臨床症状、栄養評価について異常のない代償性肝硬変でもバランスのとれた食事による栄養摂取の適正化は必要である。

 

 分岐鎖アミノ酸療法の治療の実際について、肝不全用経腸栄養剤と穎粒製剤を中心に述べた。肝不全用経腸栄養剤では服薬コンプライアンス維持に配慮が必要であり、服薬不良の原因を明らかにし、服薬の理解度を深める必要がある。常用投与量より少ない服薬量の症例での臨床効果については、多施設での検討がさらに必要と考えられる。

 

 顆粒製剤では経腸栄養剤との使い分けを十分に考慮することが重要である。また、顆粒製剤の臨床効果を左右する因子には肝臓の重症度が関与するが、それ以外の因子の有無についてもさらに検討を要する。

 

文  献

 

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  sulin infusion on plasma levels of branched-chain amino acids in

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