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伊東細胞の活性化

 

 伊東細胞(hepatic stellate cell、 fat-storing cell、 lipocyte)は、以前から肝線維化の主役を担う細胞と考えられていたが、遺伝子研究の進歩によりマトリックス産生担当細胞であることがin situ hybridizationで実証されてきた。もう一つ伊東細胞が注目されていることは、正常肝の伊東細胞と、肝臓が障害を受けてマトリックスを多量に産生している時の伊東細胞では、形態も機能も大いに変わっていることである。すなわち、正常肝では、比較的円形で、類洞の内皮細胞と肝細胞の間のDisse腔に存在している。機能的にはpericyteとして内皮細胞に接して類洞を外側から伊東細胞の突起が取り囲むようにして、類洞の血流の調節を行っていると考えられている。ところが、細胞の形が紡錐形となり、さらに線維化か活発な時の伊東細胞は筋線維芽細胞(myofibroblasts)に形質転換する。形態の変化とともに、機能面でもコラーゲンの産生をはじめとして様々なサイトカインの発現サイトカイン・リセプターの発現がみられてくる。この現象を伊東細胞の活性化という。

 

 伊東細胞の同定かマーカーを用いて研究されてきた。デスミン抗体により正常肝でも、活性化された筋線維芽細胞も陽性に染色される。それは伊東細胞がintermediate filament protein、 desminを含むからである。伊東細胞が活性化されると発現してくるα-smooth muscle actin に対する抗体を使って筋線維芽細胞と考えられる細胞の同定か行われている。

 

 伊東細胞の活性化の機序について今までの報告を中心にまとめた。ラットの標準固形食に1 % carbonyl iron を20ヵ月投与すると伊東細胞の活性化がみられる。さらに鉄イオンを負荷したラットから単離した伊東細胞ではコラーゲン合成が増加している。鉄イオンの負荷量が少ないためか、この実験では肝線維化はみられていない。またLeeら5)は、 ascorbate/FeS04でのfree radical により、過酸化脂質の産物、 malonaldehydeにより伊東細胞が活性化されることを報告している- Type l collagenおよびTGF-βによる活性化はantioxidant (1-α-tocopherol)およびbutyl ated hydroxytolu-eneによってブロックされ、 NF xB活性、 c-myb発現が抑制された。またTGF aによる増殖も抑制された。活性化された伊東細胞の核からの抽出物は、プロモータE box とsmooth muscleαactin gene との複合物を構成していた。 c-mybの発現が四塩化炭素による線維肝の活性化された伊東細胞でも発現しており、酸化的ストレスはc-mybおよびNFπBの誘導を介して活性化が生ずると考えられた。