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Retinyl ester の減少と線維化形成

 

 伊東細胞の脂肪滴に含まれているretinoidは、 90%がretinyl palmitateのエステルであるが、活性化の過程では減少する。このretinyl ester を投与することで伊東細胞の活性化が抑えられることをShiratoriら(1987)は報告し、 Senooら(1985)は線維化を抑制するとしている。一方、過剰のretinyl esterの投与は肝線維化を招くという相反する報告がなされてきた。

 

 Retinyl esterがそのままの形で伊東細胞内に取り込まれた時は、胞体内を占拠し、蛋白合成を抑制するとともにマトリックス合成を抑制するのに対し、retinyl esterが加水分解されretinolとなり、酸化されてアルデヒドを経て、retinoic acid となると別の作用がでてくるとシンポジスト奥野は強調していた。 retinoic acid は、伊東細胞のretinoid χ Γeceptor (RXR)あるいはretinoic acid receptor (RAR)α、β、yのリセプターに直接作用し、核内の転写活性を亢進してマトリックスの産生をきたすという。

 

 かつてFriedmanら8)は、正常ラット肝より単離した伊東細胞をβPDGFで活性化させると培養液にretinol代謝産物である14-HRRが産生され、伊東細胞の活性化を規制していることを示した。奥野らは今回のシンポジウムで、ブタ血清投与により作製された肝線維症ラットでは組織retinyl ester含量は低下し、 retinoic acid は増量するが、その詳細な分析から9、13-retinoic acidという新しい化学物質を発見し報告した。その物質の生理的作用が、

RARリセプターに結合して転写活性を誘導し、 plasminogen activator、TGF-β2およびTGF-β3、そして続いてcollagen mRNAが発現することを観察している。また細胞@而プラスミンによるTGF-β活性化をレチノイドが調節することを重視し、プラスミン活性抑制剤が線維化抑制につながるとしている。