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細胞外マトリックスの分解酵素

 

 マトリックスの代謝に関与する分解酵素は一つのgene family、 matrix metallo-proteinases (MMPs)に属する。またそれら酵素のインヒビターであるTIMPs (tissue inhibitor for metalloproteinase-1、 2、 3、 4)により酵素活性が調節されている。詳細は、 MMPsとTIMPsについての最近の優れた総説を参照してほしい9・lo)。肝臓では、 Friedman用の優れた総説がある。 MMP-1については次に述べる。 MMP-2と肝線維化についてTakaharaら12)は、実験的肝線維化過程におけるMMP-2の推移をNorth-ern blotで観察し、線維化初期に発現の増加を、肝硬変で徐々に低下することをみている。

 

 伊東細胞がMMP-213' 、 MMP-314'を産生する報告は注目される。すなわち、伊東細胞はマトリックス成分を産生するとともにMMPs、さらにTIMP-115)をも産生、分泌している。その機序について興味がもたれるが、不明である。

 

 Iredaleら16)は肝臓ではMMPsに比しTIMPが優位であるが、線維化病変ではさらに著明となるから線維化か進行すると繰り返し報告している。活性型伊東細胞で、 TIMP mRNA はup-regulationを受けている。一方、MMP-1は、培養初期にmRNAが観察されたが、伊束細胞の活性化とともに検出できなくなった。ラットの肝線維化モデルでは、 TIMP mRNAはその経過中高いレベルであったが、 MMP-1は変わらずに低く、その比が低く、MMP-1のdown regulation により線維化の進展につながったとしている。

 

 高原はシンポジウムで、 MMPsおよびTIMPs産生細胞として伊東細胞を強調していた。興味深いのは、ヒト慢性肝炎、肝硬変でMMP-1の低下に比し、 MMP-2とMT1-MMPというMMP-2の活性化に関与する膜型MMPは、遺伝子発現が増加している所見を示した。

 

 TIMPについては、 Murawakiらは各種肝疾患の患者血清のTIMP-1値を測定し、肝線維化の程度と相関することを報告している17)。この研究をさらに発展させて、シンポジウムでは肝組織中のTIMP 1量は肝病変の進行とともに増加し、組織学的には壊死炎症および線維化の程度と密接に関連していること、またTIMP-1の産生細胞として肝細胞を観察しており、肝線維化の進展および改善における肝細胞の役割の点で注目された。

 

 TIMPが肝臓で強く発現し、事実蛋白量でも多いことは疑いない。それに比しMMPs、特にMMP-1は極めてわずかである。MMP-1は真に線維化改善の酵素か、もしそうならどうやって発現の低いMMP-1を誘導するのか、この酵素を誘導することが肝癌発生につながらないか、など考えつつ研究している。