autoimmune cholangitis

 

 高感度の検出系を用いてもAMA陰性を示すPBCが少なくとも数%は存在することは以前より知られている.彼らの3症例は, AMA陰性(蛍光抗体法)で抗核抗体が強陽性かつ抗牛滑筋抗体も検出されprednisolone,免疫抑制剤投与により速やかに肝機能異常は軽快した.当時はPBCには免疫抑制療法が奏功しにくいと考えられていたため,彼らはこの治療への良好な反応性に注目してPBCとは異なる疾患概念を提唱した.その後, AIC9! , autoimmune cholangiopathyとして類似の症例が報告されている. PBCにおいて,特に早期例では肝細胞壊死像が目立つ症例も観察されるが,一一部の研究者はAICを自己免疫性肝炎type l のspectrumとして捉えることを提唱している。

 

 MichielettiらはAMA陰性PBC 17例と, AMA陽性PBC 17例との臨床像を比較し, AMA陰性群において抗核抗体,抗平滑筋抗体の陽性率が有意に高く≫ IgM低値, GOT高値以外の臨床検査および組織像では両者に差がないと報告した。同様にLacerdaらは,全PBC症例の5.8% (35例)にみられたAMA陰性群をAMA陽性群と比較し,両群で性,年齢,生化学検査において差はなく, AMA陰性群でlgMが有意に低く,抗核抗体の陽性率が高かったと報告している. Goodmanらは組織学的に診断されたPBC 200例をAMA,抗核抗体各々の陽性,陰性の組み合わせで4群に分け比較検討し,ΛMΛ険性群では平均年齢が陽性群に比較して有意に若かったが,組織所見や1111液検頡りi兒などのパラメーターでは差を認めず, AMA陰性群もPBCの疾患として取り扱うことを勧めている.これらの報告例をまとめると,陰性の他には比較的若年者に発症し,lgMが低い傾向にある差異は認められないと思われる.

 

 抗核抗体は蛍光パターンに特定の傾向はないが,その対応抗原の検索は重要と思われる.最近Gordonらは,抗carbonicanhydrase II (CAII)抗体がPBCとAICの鑑別に有用であると報告したが,追試確認はされていない.CAIIは胆管以外の外分泌腺上皮にも存在する

ため,膵炎,唾液腺炎の合併例では本抗休が検出される可能性があり,さらに症例数を重ねて検討する必要がある.

 

 AICの治療について文献で報告されている24例では,副腎皮質ホルモン,免疫抑制剤投与の有効例は9例でその他は無効である.従来, PBCでは副腎皮質ホルモンの有効率は低いとされてきたが,実際は骨粗鬆症を助長する副作用のため,治療効果暫定に関し十分な検討がなされていない. Mitchsonら12)は副腎皮質ホルモン治療のcontrol study を実施した結果, PBCでは肝機能検査の改善, AMAの低下がみられ組織像の進行も遅延したと報告し,骨粗転症も進行しなかったとしている.したがって,現時点で免疫抑制治療の効果で両群を特徴づけることは妥当でないと思われる.

 

 AMA陰性抗核抗体陽性の慢性肝内胆汁うっ滞を独立した疾患概念として扱うについては今後に課題が残されていると考えられ,統一した見解が得られていないのが現状である. Tsuneyamaらの報告13〕では,通常のAMA陽性PBCと同様にAMA陰性のPBCでも,その胆管上皮に抗PDH-E2抗体と反応する分子の発現が観察されており,B cell応答の差異があるのみで基本的病態は通常のAMA陽性PBCと同一ではないかと考えられる.