UDCA療法の基礎

 胆汁酸製剤であるUDCAがPBCに奏功する機序としては,①利胆作用,②細胞障害性の内因性胆汁酸との置換による効果,③肝細胞保護乍用および④免疫調節作用などが考えられている.

 

 UDCAはミセルを形成し,かつ重炭酸イオン濃度の高い胆汁分泌を急増させることに特徴があり,強い利胆効果を示す.UDCA治療後, PBCでは血清総胆汁酸の約50%が置換され細胞障害性を有する内因性胆汁酸であるコール酸(CA),ケノデオキシコー-ル酸(CACD)などは前値の1/2に減少すると報告されている.

 

 胆汁うっ滞時には胆汁酸の毛細胆管への排泄障害により肝細胞内にその異常々貯留があり,細胞障害の機序として胆汁酸の肝細胞膜への直接障害が考えらわている.……UDCAには細胞膜の安定化作用があり,疎水性胆汁の膜障害に対して防御効果を有することが明らかにされている。 Krahenbuhlらは,疎水性胆汁酸によるミトコンドリアの機能障害がUDCAの同時添加により妨げられることを明らかにしている.

 

 UDCAは肝細胞に対する直接作用以外に, PBCの免疫学的異常そのもの今是正する可能性がある. PBCの肝臓ではHLA class I , class n抗原の異常発現が認められ,前者は肝細胞に後者は胆管上皮細胞において特に強い増加が認められる. IJDCA投与により, class IIの発現低下は顕著ではないがclass I の発現は著明に低下するので,細胞障害性T細胞の肝細胞障害を抑制する効果が想定されている.主要内因性胆汁酸であるケノデオキシコール酸(CDCA)はプロテインキナーゼCとAの活性化を介して肝細胞表面へのHLA class l の発現を誘導するが, UDCAにはこの誘導能はほとんどないと報告されている19120).

 

 Yoshikawaら21)はUDCAの免疫抑制効果について報告し,免疫グロブリン各クテスの産生抑制, IL2, IL4, ylFNなどのサイトカインの産生抑制,IL1依存性T細胞の増殖抑制を明らかにした.また細胞性免疫の指標の一一つを示す, CalmusらはUDCΛはこの抑制作用を持たず,逆にCDCAの作用を減弱させProcoagulant活性を止常に保つことを報告し, UDCAが胆汁うっ滞時に観察される細胞性免疫不全を回復させる方向に働く可能性を示した.

 

 TanakaらはUDCAがグルココルチコイドレセプター- (GR)を核内に強力に移行させ,グルココルチコイドホルモン応答性遺伝子の転写を誘導することを報告している. UDCAの免疫抑制効果はグルココルチコイドに類似しており,その効果はこのGRを介するホルモン応答性遺伝子への影響にあるのかもしれない.