大酒家慢性肝炎

 アルコール性肝障害のなかには組織学的にみて,ウイルベ性の枚性肝炎と全く区別のつかない症例があり,大酒家慢性肝炎としてアル」ニル性肝障害の病やとすることが提案されている.組織学的には慢性肝炎とアルコール性肝線諄症の両者の所見が同時にみられる.したがって,大酒家のウイルス性慢性肝炎との鑑別が最も重要であり,血清ウイルスマーカーの検査は必須である.肝機能検査では,アルコール|生肝線維症とほぼ同様の値を示すが, GDH/OCT比が他のアルコール|生肝障害に比して有意に低い値をとり,他のウイルス性慢性肝炎に比して血清GDH活性が有意に高い値をとることから,本病型の診断はある程度可能である。

 

 アルコール性肝硬変

 

 アルコール|牛肝硬変は,アルコール性肝障害の終末像であり,その病態は肝実質細胞の機能低下,門脈圧亢進および肝循環障害という肝硬変に共通の因子によって規定されており,他の型の肝硬変と区別することは必ずしも容易ではない.各種肝機能検査に関しては, y-GTP活性,GOT/GPT比,血中中性脂肪量が非アルコール性肝硬変に比して有意に高く,アルコール性肝障害の特徴が比較的よく反映されている.また,他の原因の肝硬変に比べ,肝腫大とクモ状血管拡張,舌炎,末梢神経炎やDupuytren拘縮,耳下腺腫脹を認める例が多いのがアルコール性肝硬変の特徴であり,このような身体所見を有する患者では,飲酒歴の正確な聴取が重要である.

 

 

 1.禁 酒

 

 アルコール性肝障害の発生機序の詳細に関しては未だ完全には解明されていないが,過重Uの飲酒が直接の引き金になっていることには異論はなく,したがって,その要因の排除,すなわち禁酒が治療の基本であり,特に重症でない限り,禁酒と食事療法によって肝障害は速やかに改善する.

 

 アルコール性肝障害の治療と予防には禁酒することが必須ではあるが,長期にわたって絶対的な禁酒が必要か否かについては,アルコール性肝障害の病型と患者の自己管理能力の有無によって異なる.脂肪肝やアルコール|生肝線維症では,飲酒総量が病態進展の決定因子であるので,ある程度の自己管理能力のある人では,反動的な飲酒量の増加を防ぐ意味でも,日本酒にして1日平均2合にしたほうがいい。

 

 飲酒の急激な増加により発症するアルコール性肝炎は,一般に,入院時に水・電解質異常,ビタミン欠乏をきたしていることが少なくなく,早急に輸液療法などで補正する必要がある.急性期の治療には,禁酒はもちろんのこと,安静を保ち,高蛋白・高ビタミン・高カロリー食を与える.しかし,急性期には食欲不振・嘔吐などの消化器症状の強いことが多く,食物摂取が不能となり,脳症・腎不全などの重篤な状態に陥ることがあるため,経静脈栄養が必要になることがある.また,入院(禁酒)24~72時間後にアルコール離脱症候群,いわゆる禁断症状をきたすことがあり,鎮痛剤やマイナートランキライザーの投与も必要である.また,アルコール性肝炎の病態は,肝硬変をしばしば合併しており,食道静脈瘤の破裂や腹水,さらには肝性昏睡や腎不全などに対しても常に留意しておかねばならない.