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門脈血管抵抗の上昇

 

 従来から,肝硬変の再生結節による肝血管床の機械的閉塞は門脈血流に対する抵抗を生じさせる重要な因子と考えられていたが,現在では必ずしも支持されていない.

 

 一方, Disse腔内の線維増生け類洞径を減少させ肝血管抵抗を上昇させる.またDisse腔内の線維沈着の量と類洞圧(門脈圧の指標)との間に相関があることが明らかにされている。 また再生結節を伴わない脂肪肝やアルコール性肝炎では,脂肪や水分の蓄積による肝細胞の肥大が門脈圧を亢進させる.さらに肝血管系にはadrenergic receptorが存在し,複雑な神経液性因子による調節を受けている2).また類洞周囲や線維隔膜の中には収縮する筋線維芽細胞が存在することが知られている.この細胞かエンドセリンやサブスタンスPにより収縮し,NOにより弛緩することが明らかにされ,肝血管抵抗の増大に関与していると考えられている。

 

 以上のように微細な肝内血管床での形態学的変化と機能的変化が重なり合った結果,門脈血管抵抗が上昇し門脈圧亢進が発現する(“backward' low mechanism).

 

 2.門脈流入血流量の増大

 

 肝内血管抵抗増大の結果として発現する門脈圧亢進によって血管抵抗の少ない側副血行路が発達するが,門脈圧九進は依然として持続する. Ohmの法則に従えば,門脈系の血管抵抗は全休として減少し,門脈圧は低下するはずであり矛盾している.したがってこの現象を理解するためには,門脈圧亢進症におけるhyperdynamic circu]ationの存在を理解する必要がある これは末梢血管拡張(末梢血管抵抗低下)と心拍出量の上昇(側副血行路の発達,血漿量増大,微小循環のA一Vシャント)によって特徴づけられる.

 

 グルカゴンやNOに代表される血漿の血管拡張物質は,生産の増大や側副血行路形成に伴い増加し,その結果内臓や末梢の血管は拡張し抵抗は低下する.さらに血管収縮因子としてのカテコラミンに対する血管の感受性の低下が血管拡張を促進しているとも考えられている.また内臓血管拡張の結果生じた有効循環血漿量の低下はRenin-Angiotensin-Aldosterone系を剌激しNa-水貯留を来たい℡漿量を増大させる剔 このようなhyperdynamic circulationは全身および内蔵血流を増大させ門脈圧亢進症を維持してゆく(“forward”flow mechanism).

 以上のように門脈血管抵抗の上昇と門脈流入血流量の増大という2つの要因が門脈圧亢進症の発生とその維持に関与している。