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静脈瘤治療による門脈血行動態の変化

 

 食道,胃静脈瘤は門脈圧亢進により発生,発達した大循環への副行路(シャント)であるから,この副行路が内視鏡的硬化療法(EIS),内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)やバルーン下逆行性頚静脈的塞栓術(Balloon-occluded Retrograde Transvenous Obliteration,以下B-RTO)で消滅されると門脈血行動態に変化が生じることは想像に難くない.特に副行路のdirectional flow pattern の変化が惹起されEISの効果や再発が影響されることは重要で

ある.また短期間の観察では副行路の改変次第で門脈圧が変化する例もみられる.

 

 われわれは, high-riskな食道静脈瘤を有する16名の肝硬変患者にfree hand法によるEISを行い,その前後の門脈血行動態を経皮経肛門脈造影を行い検討した。 門脈圧が上昇したもの8例,低下したもの8例と同数で,上昇群では食道静脈瘤以外の門脈一大循環シャントを有するものは25%と低率であったが,低下群では88%と有為に高率であった.またEIS後にそれらのシャット加増大したものは上昇群では皆無であったのに対し,低下群では88%と有為に高率であった.したがって静脈瘤以外の門脈一大循環シャントは静脈瘤の治療後の門脈圧上昇に抑制的に働くが,それが腎シャントなどのように静脈瘤を形成するものであれば,静脈瘤は増大することになる.

 

 一方,胃穹窿部静脈瘤の新しい治療法であるB一RTOでは,巨大な胃腎シャットがほとんどの症例で血栓化するため,血行改変はより著しい.B-RTO直後の門脈圧は約20%上昇し,食道静脈瘤の増悪は約1/4の症例に認められた.

 

 食道,胃静脈瘤の発生には門脈高圧状態の持続,内臓あるいは全身の血管拡張,そして食道胃領域の特異的な解剖などが複雑に関与している.その治療にあたっては,局所の循環動態だけでなく門脈系,ひいては全身の循環動態の理解が重要である.

 

文  献

 1) Orrego H, Blendis LM, Crossley IR et al : Correlation of intrahepatic

  pressure with coHaμ