プロプラノロールの血行動態に対する作用

 

 肝硬変においてプロプラノロペルを0.5 mg/分,10分間静注すると,30分後に門脈圧(肝静脈圧較差)が26%低下する.これはバゾプレッシンを0.2単位/分で静注した場合の效果に匹敵する。 また,経口的に30 mg/日,4週投与すると平均24%低下する用.この効果はアルコール,ウイルスなど肝硬変の成因には関係がない。 ドップラーエコ一法で門脈血流量を測定するとプロプラノロールがその血流量を減少させているのが分かる.この際,門脈径には変化がない.さらに,左1肖静脈や奇静脈血流量も低下させる.この点からも静脈瘤に対する効果が予測される.非選択性β遮断薬の肝血流量への影響については成績がcontroversialである.肝血流量が低下しない理由として肝動脈血流量の反射性増加が考えられる。 しかし,門脈血流の低下が肝動脈血流量の増加によって完全に代償されることはないともいわれる.

 

Non responderについて

 

 プロプラノロールの門脈圧降圧作用は明らかであるが,なかには門脈圧の低下率が10%以下のnon-responderが存在する.筆者らの長期投与例においても18%の頻度で存在したm.他の報告でも30~40%である.無あるいは低反応の理由として,β受容体のdown-regulation、肝内あるいは側副血行路の血管抵抗上昇,門脈血流量減少に伴う肝動脈血流量の増加による閉塞肝静脈圧の上昇などが想定されるが,いまだに不明である。患者の背景,肝硬変の成因,肝疾患の重症度,プロプラノロールの血中濃度などとは関係がない . Non-responderの存在は他の薬剤でも同様で,スピロノラクトンにおける検討でも約30%に存在した。プロプラノロール,ニプラジロール,カルベジロール,スピロノラクドンの4剤に対するresponderとnon-responderについて投与前の血行動態を比較した結果,前者において肝静脈圧較差,平均動脈圧が有意に高く,総末梢血管抵抗が高値の傾向を示した。すなわち, hyperdynamic stateの面からはより早期の例にresponderが多いことになる.現在のところ,個々の例で本剤の反応を予測する簡便な方法はない.プロプラノロールについては投与による門脈圧測定が唯一の方法である.

 

 

薬物併用療法

 

 門脈降圧作用の増強, non-responderに対する対応を目的とした門脈降圧薬の併用療法が検討されている。プロプラノロールとNTGあるいはisosorbide 5-mononitratcを併用すると,門脈圧低下作用の増強あるいはnon-respon-derの頻度の減少が認められる.実際,プロプラノロール単独に比し2倍の門脈圧降圧作用があったと報告されている117=.この際,プロプラノロールによる静脈血流量低下作用は抑制されない.その他,プロプラノロールとスピロノラクトンの併用なども検討されている.しかし,その効果はまだ十分とはいえず,今後の検討課題である.われわれは,併用療法の一種として,二ト口基を有するβ遮断薬のニプラジロールへ α,β遮断薬のカルベジロールの門脈圧に対する効果を検討したが,いずれもプロプラノロールを凌駕する結果は得られなかった.