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静脈瘤と血行動態の関係

 

 肝硬変において食道静脈瘤を有する例では門脈圧(門脈と下大静脈の圧較差または閉塞肝静脈圧と静脈圧の較差は10 mmHg 以上である.門脈圧あるいは静脈瘤圧以外の血行動態と静脈瘤との関係については従来あまり検討がなされてなかったが,われわれの検討では静脈瘤のサイズなどに対しより強く関与している因子は循環血漿量であった.この点でもスビロノラクトンは門亢症に対する薬物療法の一つとして意義があるとみなしている。

 

 静脈瘤出血の予測因子となるのは,内視鏡所見では静脈瘤の形態, R-C signなどであるが,門脈圧については12 mmHg 以上が条件とされる.実際,プロプラノロールの長期投与により門脈圧が12 mmHg 以下に下降した例では出血例がなかったと報告されている.したがって,静脈瘤に対する薬物療法の目標の一つは門脈圧を12 mgHg以下に低下させることである.静脈瘤出血に関与する他の因子として静脈瘤圧がある。門脈血と静脈瘤圧は必ずしも相関関係にない.静脈瘤圧も血管抵抗と血流量によって規制されていると思われる.したがって,そのいずれかを低下させることができれば出血のリスクを減ずることとなる.すなわち,プロプラノロールにより門脈圧が12 mmHg 以下に低下せずとも,その収縮作用により静脈瘤血流量が低下すれば,出血が予防できると考えられる.食道静脈瘤血流量は奇静脈血流量を測定することにより知ることができる.